コラム

北陸新幹線、敦賀以西の延伸に「正解」はあるのか?

2015年06月18日(木)13時04分

 このFGTに関しては、鉄道・運輸機構が主導して現在は実用化一歩手前の「3次車」まで開発が進んでいます。この3次車ですが、オイル漏れを防止するシールに破損が起き、同時に車軸にも傷が発見されたとして、現在は試運転が中止されています。

 ですが、車軸やギアボックスの「潤滑油」に関するトラブルというのは、新幹線には「付き物」であり、現在の東海道の主力であるN700Aにしても、初期にはギアボックスのオイル漏れや、オイルの加熱による発煙などのトラブルは何度も経験しているのです。それこそ、0系から100系、そして300系の安定運用に至るプロセスはこの問題との格闘だったと言っても過言ではないでしょう。

 FGT3次車に関しては、この程度のことで中断することなく開発を進めて、出来る限り敦賀開業に間に合わせるようにして欲しいと思います。FGTであれば、富山始発の大阪行きが敦賀で狭軌在来線に下りて、通常は湖西線経由で京都・大阪へ、風の強い時は現在も「サンダーバード」が迂回しているように米原回りで行けばいいのです。米原回りで名古屋への直通も可能です。

 今後日本社会は人口減が加速します。状況によっては、新幹線と並行在来線の双方を抱えきれない地域も出てくるでしょう。しかし、その際にFGTの技術が確立していれば、新幹線を活用した全国の鉄道ネットワークの利便性を維持できると思います。「フル規格での北陸新幹線の関西直結」という構想に大金を投じるよりも、FGTを真剣に練り上げることの方が、今は重要だと思います。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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