コラム

ヒラリー対ジェブ、2人のビデオを比べてみると

2015年06月16日(火)12時30分

 また、3分ほどのビデオは全く同じトーンで貫かれており、例えば共和党内の財政保守派、あるいは軍事タカ派、宗教保守派などに「エールを送る」ような趣旨の部分は全くありません。実にキッパリと中道カラーで一貫しているのです。

 仮に「ヒラリー対ジェブ」という対決になった場合の選挙戦に関しては、「リベラルなクリントン家」対「保守的なブッシュ家」の「両イデオロギーの激突」などというイメージの展開には「なりそうもない」ように思います。

 アメリカの中央政界は依然として「左右対立による議会とホワイトハウスの綱引き」が続いていますが、そのことへの反発も含めて、世論には「中道実務家」を望む声が多いように思われます。ジェブ候補の選挙戦は、その中道路線を掲げるものとなるでしょうし、それが支持を集めるようですと、ヒラリー候補もそれほど左寄りの路線には行けないのではという観測ができます。

 最後にもう一つ、この2本のビデオもそうですが、現時点では「軍事外交問題」は選挙戦の大きなテーマにはなりそうもありません。あくまで内向きの時代の選挙ということです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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