プレスリリース

代々木ウィルクリニック院長太田剛志氏の取材記事を『人民日報海外版日本月刊』にて公開

2025年06月26日(木)12時30分
『人民日報海外版日本月刊』は、代々木ウィルクリニック院長太田剛志氏の取材記事を公開しました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/440576/LL_img_440576_1.jpg
代々木ウィルクリニック院長太田剛志氏

がんスクリーニング検査の分野において、いかに高精度に早期がんを発見するかは、長年にわたり世界の医学界における重要な課題となってきた。近年、こうした中で「マイクロCTC検査」と呼ばれる先端技術が、がんスクリーニングにおける大きなブレークスルーとして注目を集めている。この検査は、米国MDアンダーソンがんセンターで開発されたCSV(細胞表面ビメンチン)抗体を用い、たった1回の採血で体内のがん細胞を検出し、早期治療の可能性を拓く画期的な手法である。
このCSV抗体の日本国内における独占使用権を保有し、マイクロCTC検査を唯一提供しているのが、株式会社セルクラウドである。同社は全国180を超える提携医療機関と連携し、代々木ウィルクリニックを拠点にこの検査の普及を進めている。
先ごろ本誌は、株式会社セルクラウドの執行役員であり、代々木ウィルクリニック院長でもある太田剛志氏にインタビューを行い、マイクロCTC検査の原理、優位性、そして今後の展望について話を伺った。


■がんスクリーニング検査の新たな選択肢
―― 現時点で、日本におけるがんスクリーニング検査の主流はPET-CTやMRIといった画像検査ですが、マイクロCTC検査を導入する医療機関も急増しており、高い評価を得ています。従来の手法と比べて、マイクロCTC検査にはどのような強みがあるのでしょうか。
太田 全身のがんスクリーニング検査と聞くと、多くの人がまずPET-CTやMRIなどの画像検査を思い浮かべると思います。これらは費用が高額な上、早期の胃がんや大腸がんなどの病巣を見つけにくいという課題があります。さらに、その"死角"を補うために、胃カメラや大腸内視鏡などの追加検査が必要となり、時間的にも経済的にも大きな負担になります。そのため、必要性を感じてはいても、なかなか受診に踏み切れない人が多いのが実情です。日本のがん検診の受診率は現在、わずか5割程度にとどまっています。症状が出てから初めて病院に行くという人も多く、最も効果的な治療のタイミングを逃してしまうケースも少なくありません。
そうした状況下、マイクロCTC検査はハードルが低く、経済的負担も少ないという利点があります。たった1回の採血で、体内に潜むがんのリスクを検知することができるのです。実際、多くの受診者が「1回の採血で済むなら」と、気軽な気持ちで検査を受けています。
この検査は、がんの早期発見につながるだけでなく、健康管理を見直すきっかけにもなります。我々は、多くの方々が前向きに理性的に、体内に潜む小さなシグナルに向き合えることを願っています。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/440576/LL_img_440576_5.jpg
代々木ウィルクリニック

■血液中に「見えないがん」を発見
―― マイクロCTC検査の仕組みについて、科学的な背景も交えながら、読者にわかりやすくご説明いただけますか。なぜ1回の採血で全身のがんリスクを検知できるのでしょうか。
太田 人間の体内では、一日5,000~1万個のがん細胞が自然に発生しています。通常であれば、がん細胞ができた瞬間に免疫が攻撃・排除するため、がんに進行することはありません。しかし、免疫の監視をすり抜けたがん細胞があった場合、それが徐々に増殖し、やがて「がん」に育つわけです。
がん細胞は、増殖する過程で周囲の血管と結びつき、「新生血管」と呼ばれる血管網を形成します。これにより、酸素や栄養を得てさらに成長します。最近の新しい種類の抗がん剤には、「新生血管阻害剤」といって、ここを断ち切る薬もあります。
がん細胞は1ミリほどに成長すると、一部の細胞はこぼれ落ちて血液中を巡ります。これは「血中循環がん細胞(CTC)」と呼ばれています。実は、CTCという概念自体は150年前からありましたが、血液中に存在する数は非常に少ないのです。例えば、成人女性の血液量は約4リットル、成人男性は約5リットルですが、血液1ミリリットルあたりに、およそ1,000万個の血球成分が含まれていると言われています。その中から1~2個のCTCを見つけ出すのは、技術的に極めて困難です。我々は十数年をかけて、マイクロ流体チップという技術的ブレークスルーを果たしました。
胃がん、肺がん、乳がん、子宮がんなど一般的ながんは「上皮性がん」と呼ばれ、上皮細胞から発生します。近年の研究で、上皮性のがんでも、比較的早い段階からEMT(上皮間葉転換)というものを起こすことが分かってきました。このEMTを経たがん細胞は、血流に乗って全身に移動しやすくなり、他の部位に病巣を形成するリスクが高まります。
マイクロCTC検査では、CSV(細胞表面ビメンチン)という特定のタンパク質を標的にして、EMTを経た転移性の高いがん細胞を高精度で捕捉することができます。これに対し、PET-CTやMRIといった一般的な画像検査は、すでにある程度の大きさに成長した病変しか捉えることができません。血流中を移動しているごく初期のがん細胞は、捉えることができません。つまり、PET-CTやMRIで異常が見つからなかった場合でも、マイクロCTC検査で発見できるというわけです。
我々が使用しているのは、米国MDアンダーソンがんセンターが開発したCSV抗体です。我々は、この抗体の日本における独占利用権を獲得しています。すなわち、現在の日本において、セルクラウドだけが、マイクロ流体チップ技術とCSV抗体という2つの重要な技術を組み合わせたマイクロCTC検査を実施することが可能なのです。

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/440576/LL_img_440576_3.jpg
特殊な機器や、検査技術の手により血液の検体処理が行われる

■誤判定の低減と精度の向上を実現
―― 報道によれば、従来のがんスクリーニング検査では見落とされていたがんが、マイクロCTC検査で発見された事例が複数報告されています。現在のマイクロCTC検査の精度についてはいかがですか。
太田 医学的に検査の精度を判断する際に、「感度」と「特異度」という二つの指標があります。感度とは、がんを患っている人が陽性となる精度です。一方、特異度はその逆で、がんを患っていない人が陰性となる精度です。感度ばかりを追求すると、疑わしいがん細胞を可能な限り拾い上げる一方で、偽陽性が増加し、不要な不安を招くことになります。
マイクロCTC検査は、感度よりも特異度を重要視しています。つまり、検査結果が陰性と出た場合、その結果の信頼性は非常に高いということです。現時点で、特異度は94.45%に達しており、感度も85%と決して低くはありません。誤判定の低減と精度の向上を実現しています。
現段階では、マイクロCTC検査によって検出されたがん細胞が、体内のどの器官に由来するかまでは特定できませんが、がん細胞が存在することは間違いないわけです。陽性反応が出た場合には、全身の精密検査を強く勧めており、実際にこの検査をきっかけにがんの診断に至ったケースも少なくありません。
一方で、血液中にがん細胞が存在している以上、体内ではすでに「がんの一歩手前」の状態にあると考えられます。半年あるいは1年後の再検査を推奨しています。細胞の増殖があるかどうかを確認するためです。 人によっては、自己判断で対策を講じるケースも見られますが、私たちはまず生活習慣の見直しをお勧めしています。具体的には、バランスの取れた食生活、規則正しい生活リズム、適度な運動などを通じて、がんの芽を抑えることが大切です。
この検査は、がんの早期警告というだけでなく、自身の健康管理を見つめ直す機会にもなります。我々は、体内の小さなサインに、より多くの人びとが前向きに理性的に、向き合えるようになることを願っています。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/440576/LL_img_440576_4.jpg
AIが搭載された専用の超高性能光学顕微鏡で解析

■世界が認める日本の技術
―― 低価格でありながら再先端をいくマイクロCTC検査は、日本でしか受けられないとのことですが、日本に短期滞在中の訪日観光客も受けられますか。採血から結果が出るまでにどのくらいかかりますか。
太田 採血から検査結果が出るまで、通常7~10日ほどかかります。しかし、実際には多くの訪日観光客が早く結果を知りたいと希望されます。応急対応で3~4日で結果をお知らせすることも可能です。さらに、多言語に対応しています。
かつては、採取した血液サンプルをヨーロッパなど海外の検査機関に送っていました。そのため、コストも時間もかかり、国際輸送による精度への不安を口にする人もいました。これらの課題を克服するため、当社は代々木に自社検査センターを設立しました。検査は、専門資格を有する日本の検査技師が行い、採取から輸送、検査に至るすべてのプロセスが国内で完結します。時間コストを大幅に短縮でき、検査の信頼性も大きく向上しました。
また、マイクロCTC検査の導入を希望するクリニック等に対しては、早期の運用開始に向けて、きめ細かな指導やフォローアップ支援も行っています。新たな患者さんを獲得する可能性も生まれるのではないでしょうか。

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完全プライベート空間で院長自ら面談

■「サイレントがん」克服への大きな一歩
―― 先ごろ、御社は、順天堂大学肝・胆・膵外科と「膵がんにおける血中循環がん細胞の意義に関する検討を目的とした共同研究」を開始したと報じられました。膵臓がんは、全てのがんの中で最も生存率が低いことから、日本社会でもこの共同研究に大きな関心と期待が寄せられているようです。
太田 マイクロCTC検査は、血液中のがんを検知するものです。がんがどの臓器に由来するものかを特定できなくても、サインを早期に捉えることができますので、今回の順天堂大学との共同研究は一つのきっかけになると考えます。
初期の膵臓がんは腫瘍マーカーにも出づらく、従来のスクリーニング検査では発見が困難でした。これに対し、マイクロCTC検査は画像診断や腫瘍マーカーにも反映されない初期段階で、CTCの存在を捉えることができるため、膵臓がんの早期発見に新たな可能性が生まれるのではないかと考えます。私個人が注目しているのは、骨軟部腫瘍です。多くの上皮性がんと異なり、これらの腫瘍には腫瘍マーカーが存在せず、画像診断に頼らざるを得なかったのです。我々は栃木県立がんセンターの骨軟部腫瘍・整形外科と共同研究を進めており、初期のデータでは、マイクロCTC検査がこの種の希少がんに対しても高い感度を示しています。
さらに、マイクロCTC検査のもう一つの有用性は、治療効果や再発リスクのモニタリングツールとして活用できる点にあります。例えば、がん患者が手術や化学療法を終えた後に、定期的に血液を採取しCTCの数値の変化を見ることで、画像で検知する前に、早期に再発を見つけるきっかけになり得るということです。(撮影/呂鵬)


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プレスリリース提供元:@Press
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