プレスリリース

現代美術家・内藤礼のコミッションワーク、富山のアートホテル「楽土庵」にて公開を開始。

2025年06月23日(月)10時30分
株式会社水と匠が運営を手掛けるアートホテル「楽土庵」(富山県砺波市野村島645)にて、現代美術家・内藤礼のコミッションワーク「返礼」を恒久設置し、2025年5月24日より公開を開始いたしました。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/439731/LL_img_439731_1.jpg
内藤礼「返礼」

「返礼」は「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)」と、散居村の水田に臨む庭が一体となった作品です。「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)」は、幅3.65cm、長さ460cmの繊細な水路に水が張られた立体作品で、息を吹きかけることで生まれる波紋が水面を伝わり、その先に広がる散居村へと意識を誘います。

「返礼」は内藤礼が何度も砺波平野の散居村に通い、受け取ったものから、楽土庵のためにつくられました。鑑賞者が息を吹きかけることによって成立する本作品には、目に見えない土地や自然からのはたらきかけを受け取り返礼する、内藤ならではの感覚が込められています。

この息と水は一つのひかる波に変身し、向こうへ走り出す。私はそれを見ている。
生、それは顕れるとすぐさまどこかへ消えてしまい、
私は後を追うこともできず、ただ見送る。
そして、再び息をする。
私たちを生かしている何かに対して「返礼」しようと思う。
生を受け取り生きていると、伝えようと思うのだ。

内藤礼

季節、天候、時間によって様々な色や表情が映される小さな水路は、時には昆虫やカエルも加わって、私たちと土地の自然をつなげます。宿泊客は滞在中自由に鑑賞でき(一部時間帯を除く)、宿泊者以外の方も事前予約制・有料(1,200円税込)にて鑑賞いただけます。


■返礼
「タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください)」2023年
水、ステンレススチールに塗装 91×3.65×460cm
庭:2,230×1,240cm

楽土庵の宿泊者は滞在中自由に鑑賞可能(19:00~09:00を除く)。一般の鑑賞者は予約制・有料(1,200円税込)。
楽土庵のために制作された作品。散居村の景観と鑑賞者を結ぶような水路と庭全体が作品となっている。鑑賞者が作品に息を吹きかけるという行為には、呼吸における"吸う"(受け取る)と"吐く"(返礼する)というメタファーが込められている。
楽土庵では、他にも内藤礼の作品《color beginning》と《ひと》が館内に設置されている。

◎詳細・ご予約はこちら→
https://www.rakudoan.jp/rei-naito/

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/439731/LL_img_439731_2.jpg
内藤礼「返礼」
画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/439731/LL_img_439731_3.jpg
内藤礼「返礼」

■散居村と楽土庵
楽土庵が位置する富山県西部砺波地方には、水田のなかに伝統建築アズマダチと屋敷林カイニョが点在する「散居村」が500年の歳月をかけて形成されてきました。民藝運動で知られる柳宗悦は、人と自然が調和する土地の暮らしに感銘を受け、そこにある精神風土を「土徳」と呼びました。土徳のあらわれた散居村の美しい景観は、かつての日本型循環社会を今に伝えるものであり、社会の急激な変化によって消失の危機にさらされているものでもあります。

画像4: https://www.atpress.ne.jp/releases/439731/LL_img_439731_4.jpg
砺波平野の散居村

築120年のアズマダチ古民家を改修した「楽土庵」は、富山の精神風土「土徳」を通じたリジェネラティブ(再生)・ツーリズムを推進するアートホテルです。土徳の体感が導く心身の再生・回復を、散居村の保全へとつなげる再生的な旅の在り方を目指して、地域と深く関わるアクティビティの開発や、宿泊費の一部を散居村保全団体へ寄付するなどのさまざまな仕組みを構築してきました。

画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/439731/LL_img_439731_5.jpg
楽土庵外観
画像6: https://www.atpress.ne.jp/releases/439731/LL_img_439731_6.jpg
土地の人に学ぶ越中いさみ太鼓体験
画像7: https://www.atpress.ne.jp/releases/439731/LL_img_439731_7.jpg
大門素麺づくり体験

この度設置する内藤礼の「返礼」も土徳と響きあうものとして、土徳の体感を豊かに鮮やかにしてくれるものだと考えています。


■内藤礼 Rei Naito 現代美術家
1961年広島県生まれ。現在東京を拠点に活動。1985年武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業。1991年、佐賀町エキジビット・スペースで発表した「地上にひとつの場所を」で注目を集め、1997年には第47回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館にて同作品を展示。「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」を一貫したテーマとした作品を手がけている。
これまでの主な個展に「みごとに晴れて訪れるを待て」国立国際美術館(大阪、1995年)、「Being Called」フランクフルト近代美術館企画、カルメル会修道院(フランクフルト、1997年)、「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」神奈川県立近代美術館 鎌倉(神奈川、2009年)、「信の感情」東京都庭園美術館(東京、2014年)、「信の感情」パリ日本文化会館(パリ、2017年)、「Two Lives」テルアビブ美術館(テルアビブ、2017年)、「明るい地上には あなたの姿が見える」水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城、2018年)、「うつしあう創造」金沢21世紀美術館(石川、2020年)、「breath」ミュンヘン州立版画素描館(ミュンヘン、2023年)、「生まれておいで 生きておいで」東京国立博物館、銀座メゾンエルメス フォーラム(東京、
2024年)がある。
パーマネント作品に、「このことを」家プロジェクト「きんざ」(香川、2001年)、「母型」豊島美術館(香川、2010年)。受賞に、日本現代藝術奨励賞(インスタレーション部門、1994年)、第一回アサヒビール芸術賞(2003年)、第60回毎日芸術賞(2018年)、第69回芸術選奨文部科学大臣賞(美術部門、2019年)。


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
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