コラム

【大江千里コラム】厳戒態勢のNYで考える、「コロナレッスン」という試練と希望

2020年03月29日(日)17時00分

「家の検疫所を充実やね!」が、今やニューヨーカー同士の決まり文句。人に感染させないで、互いを思いやり、心を平穏に保ち、何より普段通りで過ごす。

小売店で会った青年が別れ際に、「今は宇宙元年だ!」と叫ぶ。これから世界恐慌が間違いなくやってくる。国境もなくなり、「新しい地球号」の出航の日が来る。

それまでは喪失や破壊などネガティブなことが起こるだろうが、いずれ力を合わせて前を向く日が来る。今までの構造は破壊されるかもしれないが、その代わり新しい「システム」が必ず生まれる。

これを機に、彼の地では内戦がストップしたではないか。宇宙という船に乗り、一人一人が意識改革を試される「コロナレッスン」!

レジの横にいたラテンなおばちゃんが歌い始めた。「あなた~、ビールを買うなら今はコロナでしょ~」。すると別のおばちゃんが、「私のロッタリー(宝くじ)が当たれば一生分のコロナを買ってあげる~」

2人に挟まれ、感染も忘れてマジで吹き出す。きっと大丈夫だ、ニューヨークはヘコタレない。Do my part NY!

みなさんが安全でいられますように。

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2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

プロフィール

大江千里

ジャズピアニスト。1960年生まれ。1983年にシンガーソングライターとしてデビュー後、2007年末までに18枚のオリジナルアルバムを発表。2008年、愛犬と共に渡米、ニューヨークの音楽大学ニュースクールに留学。2012年、卒業と同時にPND レコーズを設立、6枚のオリジナルジャズアルパムを発表。世界各地でライブ活動を繰り広げている。最新作はトリオ編成の『Hmmm』。2019年9月、Sony Music Masterworksと契約する。著書に『マンハッタンに陽はまた昇る――60歳から始まる青春グラフィティ』(KADOKAWA)ほか。 ニューヨーク・ブルックリン在住。

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