コラム

アフリカで初の新型コロナウイルス感染者、医療ぜい弱な大陸は大丈夫なのか

2020年02月16日(日)11時01分

ただし、ヒトの動きがグローバルである以上、「感染者を一人も出さないこと」は事実上不可能とみてよい。その意味で、むしろ重要なことは、適切な検査・治療に関する知見の普及はもちろんだが、感染状況に関する正確な情報を各国が共有することだろう。

だとすると、エジプトの問題はアフリカ大陸で初めて感染者を出したことではなく、感染者の移動経路などを含む情報を公開していないことにある。感染が蔓延しているとみなされれば、現在の日本がそうであるように、観光業などに大きなマイナスとなることは確かだが、情報が不十分なら感染はさらに拡大しかねない。

新型コロナは各国のガバナンスの問題をも浮き彫りにしているのである。

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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