コラム

高市新総裁の「高い経済理解」と高市政権で起こる経済政策の大転換

2025年10月07日(火)08時30分

経済をあたため続ける「高圧経済」が必要

また、早稲田大学政治経済学術院教授の若田部昌澄氏は、経済をあたため続ける「高圧経済」が必要であり、膨らんでいる債務残高ではなく純債務/GDPで見れば日本の財政状況はかなり改善している点を指摘している。高市氏はこれらを高いレベルで理解しているとみられる。

7月22日当コラムでは、コロナ禍が終わった後の日本の財政収支の改善ペースが、主要国の中でも極めて早いことを紹介した。インフレによって税収が大きく伸びていることが主因である。

インフレに応じて本来調整されるべき税制が全く変わっていないため、税金による徴収が行き過ぎており、政治家と経済官僚の無策によって日本では緊縮財政が続いてきたことを意味する。

実際に、コロナ禍後の企業、家計、政府それぞれの部門の可処分所得の推移(2019年=100)を見ると、企業(営業利益に相当)と政府(税収に相当)それぞれの可処分所得は2024年度時点でコロナ禍前から2割増えているが、家計の可処分所得は1割しか増えていない。食料品を中心とした物価高が続く中で、家計だけが経済回復を実感できないのは当然である。

企業、家計、政府それぞれの部門の可処分所得の推移

コロナ禍後に家計への所得分配をしっかり行わなかったことが、自民党政権が国民の支持を失った大きな要因である。分配政策を含めたマクロ安定化政策を軽視した岸田、石破政権とは異なる経済政策を、高市政権は打ち出すだろう。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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