コラム

トランプ政権の関税引き上げが日本株の脅威になる理由(ただし、間接的に)

2025年02月06日(木)10時40分
石破茂首相 ドナルド・トランプ大統領

石破茂首相(左)とドナルド・トランプ大統領(右)の首脳会談では何が話し合われるのか LEFT: YUICHI YAMAZAKI/Pool via REUTERS, RIGHT: REUTERS/Leah Millis

<本来は、適切な対応を繰り出せば、米国の政策の影響を最小限に抑制できる。いよいよ日米首脳会談だが、石破首相はトランプ大統領とどう向き合うのか>

2月1日にトランプ大統領は、カナダ、メキシコ、中国への関税賦課を行う大統領令に署名した。カナダ(エネルギー除く)とメキシコへの25%の関税、中国への関税引き上げ10%である。

トランプ大統領は従前からこの考えを示していたのでサプライズではないが、この報道が嫌気されて2月3日の日本株市場は大幅な下落に見舞われた。

大統領令に基づく関税賦課が続けば、年間あたりの関税増収は約2500億ドルと試算され、これは米国GDPの約1%に相当する。だがそれ以上に、米国への輸出依存度が高いカナダ、メキシコ経済への影響は極めて大きく、米国経済全体にも相応のマイナスの影響が及ぶことになる。

トランプ政権の関税引き上げはディールの材料として使われるので、1年程度の時間をかけて2000億ドル規模の関税引き上げが実現すると筆者は想定していた。仮に、カナダ、メキシコへの関税引き上げが早々に実現すれば、今後欧州や日本などにも相応の関税引き上げが実現して、筆者の想定を超える規模での関税賦課となる。

この場合、米国経済にもダメージが及ぶ上、世界経済全体の成長に大きくブレーキがかかる。

実際には、2月3日の土壇場で、カナダ、メキシコへの関税引き上げが1カ月先送りされたので、交渉材料として関税引き上げが利用される、と筆者が想定していた通りの展開となった。もちろん、米国と各国の政治交渉がどうなるかは政治判断次第で、経済規模が小さい国が米国から関税を引き上げられれば、大きな経済的ダメージを被るだろう。

プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米兵3人死亡、対イラン作戦で初 トランプ氏「終結ま

ワールド

イラン臨時指導部が対話打診、トランプ氏「応じる」

ビジネス

英MFS破綻で金融株軒並み下落、銀行損失やプライベ

ワールド

米軍、イランの軍艦9隻撃沈=トランプ氏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作曲家が「惨めでもいいじゃないか」と語る理由
  • 4
    ドバイの空港・ホテルに被害 イランが湾岸諸国に報…
  • 5
    「本当にテイラー?」「メイクの力が大きい...」テイ…
  • 6
    【銘柄】「三菱重工業」の株価上昇はどこまで続く...…
  • 7
    【銘柄】「ファナック」は新時代の主役か...フィジカ…
  • 8
    米・イスラエルの「イラン攻撃」受け、航空各社が中…
  • 9
    「高市大勝」に中国人が見せた意外な反応
  • 10
    最高指導者ハメネイ師死亡(イラン発表)、トランプ…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 7
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 8
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 9
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story