映画『天上の花』に見る昭和の詩人・三好達治 愛と暴力のフォルムは、滅びゆく大日本帝国の写し絵
おそらく達治は無垢で無知すぎたのだろう。色がなくて無垢であるが故に、女は男に従うことが当たり前であるとの社会通念にためらいなく染まってしまう。無知であるが故に、日本はアジアを解放するために欧米列強との戦いを決意したのだとの報道を信じ込んでしまう。
念を押すが、これは映画と小説の創作だ。実際のところは分からない。でもここに作り上げられた達治のフォルムは、あの時代の男の類型なのだろうと納得できる説得力がある。
ラスト近くになぜ過去の時制を現在に持ってきたのか。それによってどんな効果を狙ったのか。僕には分からなかった。でも何らかの理由があるはずだ。探るためにもう一度観なくてはならない。
『天上の花』(12月9日公開)
©2022「天上の花」製作運動体
監督/片嶋一貴
出演/東出昌大、入山法子、浦沢直樹、萩原朔美
<本誌2022年11月22日号掲載>
数々の名監督を生んだイランの現状にもやもやしながら『シンプル・アクシデント/偶然』を観る 2026.03.25
『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントにして 2026.03.11
脚本・監督も主演2人も素晴らしい......僕の大切な『オアシス』は奇跡を見せてくれる 2026.02.11
大評判作『ワン・バトル・アフター・アナザー』が感じさせるアメリカの「反復力」 2026.01.29






