反体制を美化せず 全共闘世代が発見した映画『真田風雲録』の価値
公開時は評論家などから黙殺されて、興行は6日間で打ち切られた。つまり大衆から支持されなかった。ところが70年代に入ると、全共闘世代の若者たちが再評価し、大学祭や自主上映会などで頻繁に上映されるようになったという。全学連の次の世代である全共闘が、「闘いと挫折」をテーマにしたこの作品に共感を抱いたという経緯は興味深い。
歴史は何度も繰り返される。結局のところ権力は人々を圧殺する。守るための武器が人を殺す。テレビニュースでウクライナの状況を見ながら、僕は吐息をつくばかりだ。
『真田風雲録』(1963年)
監督/加藤 泰
出演/萬屋錦之介、渡辺美佐子、大前 均、常田富士男
<本誌2022年4月26日号>
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