「抗議があったから中止する」あいトリを筆頭に相次ぐこのパターンは深刻な危機だ
最も危惧すべきは、こうした事態が続くことで萎縮や忖度が蔓延して、鋭い問題提起を行う作品が消えることだ。仮定の話ではない。実際にそうなりかけている。
映画を見てほしい。精神障害を理由に国家から排除された人たち。その切ない思いに、作品は寄り添う(好きな言葉じゃないが本当に寄り添う)。映画で紹介される当時の精神科医の言葉を最後に記す──障害を持って生まれたことに加えて、この国に生まれた不幸が重なっている。
『夜明け前のうた 消された沖縄の障害者』(2020年)
©2020 原義和
監督/原 義和
<本誌2022年1月18日号掲載>
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