コラム

大阪・関西万博「未来的目玉展示」...石黒浩氏のシグネチャーパビリオンが描く「いのちの未来」

2025年09月03日(水)16時40分

そのクライマックスまでの間、来場者はアンドロイドの生きる世界、身体性の何たるかについての知識や可能性、その幸不幸を垣間見ることになる。そのうえで、果たして、おばあさんがとる選択は──。

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人間に迫る寿命

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ANDROIDかNATURAL ENDINGかの選択

ネタバレするのは本意ではないため詳述は避ける。
パビリオンの最後はさらにその先、1000年後の世界を描き、圧巻のクライマックスを迎える。

1000年後、3025年の異世界

3025年の世界、そこは「科学技術で進化発展していく未来の人間と出会える」ゾーンが表現され、1000年後の世界をイメージした音と光に包まれる。登場する「モモ」は尖った耳を持ち、アンドロイドと生身の人間の隔たりがなくなった進化した人間「ミレニアムヒューマン」だ。カラダの制約から解き放たれた人の姿との出会いは幻想的で、音、光、香りの視覚、聴覚、嗅覚に訴えかけてくる演出は多分に五感を刺激する。

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アンドロイドのモモ。制約から解放された自由なカラダと精神を体現し、静かに舞いながら現代人とこころを通わせていく

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1000年後、今生きている人たちは「おそらく」誰も生きていない世界。ただ、近年いよいよ目覚ましいテクノロジーの進化を目の当たりにすると、1000年後、現代人が生きていないとは言い切れないのではないか。人間の科学技術の発展、それと糾える人間の欲望と理性はどのように折り合いを付けていくだろうか。

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パビリオン出口にある石黒氏のメッセージ

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プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

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