コラム

大阪・関西万博「未来的目玉展示」...落合陽一氏のシグネチャーパビリオン「null2」は、何を伝えている?

2025年09月12日(金)08時30分
大阪・関西万博の落合陽一パビリオン

一際目立つ外観の「null2」パビリオン

<現代の魔法使いがいざなう「ヌル2」で「空2」の世界──。主体と客体のマジックと計算機自然の未来とは>

連日話題に事欠かない大阪・関西万博も閉幕まであと2カ月を切った。未来の世界、人類の絵姿を描く趣向を凝らした展示の数々が耳目を集め、賛辞や珍事を併せ呑みながら、連日の大盛況となっている。

今回は、未来学の視点からも示唆に富む、人気のパビリオンのうち、「現代の魔法使い」の異名を持つメディアアーティスト落合陽一氏が手掛けたシグネチャーパビリオン「null2(ヌルヌル)」を紹介する。
(※注記のない写真は筆者撮影)

多才な魔法使い

落合氏と言えば、起業家であり大学教授であり、研究者であると同時に、希代のメディアアーティストという異なる顔を持ち、多方面で活躍する。独特の感性、世界観を持ち合わせ、このnull2はまさにその彼の内面を具現化した、比類ない「落合ワールド」を表象している。nullはプログラミングの「何もない」と仏教の「空」を重ね合わせたネーミングだ。

パビリオンの建築工程にも落合氏のポリシー、モットーが見て取れる。建築途中の当時、万博全体の建設費高騰が課題とされていた折、落合氏はSNSなどを通じ、パビリオン完成、そして運営に必要な各分野に明るい人材を広く募った。その手法は、DAO(分散型自律組織)的とも、フルーガルエンジニアリング(倹約工学)的とも映る。落合氏も自ら工具を使って建築に汗した。

プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

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