コラム

欧州だけで「プーチンの抑え込み」は可能か...「アメリカ抜き」で進むウクライナ平和維持部隊計画

2025年04月11日(金)17時33分
ロシアとの和平後のウクライナ平和維持の行方

ロシアによるウクライナ侵攻3周年を記念して実施されたウクライナとの連帯を訴えるデモ(ポーランド、2025年2月24日) Beata Zawrzel via Reuters

<アメリカが当てにできない状況となるなか、ロシアとの和平が実現した後には、英軍がウクライナに5年間駐留するという計画を検討しているとの報道が>

[ロンドン発]ウクライナ停戦後の西側「有志国連合」による和平の再保証(平和維持)部隊派遣について、英軍がロシア軍の再侵攻を防ぐためウクライナに5年間駐留し同国軍の訓練や再編成を助ける案を検討していると英紙デーリー・テレグラフ(4月10日付)が報じた。

この案は現在検討されている数多くの選択肢の一つで、フランスの立案者は西側の軍隊が駐留するウクライナに関しウラジーミル・プーチン露大統領が再侵攻を承認する可能性は極めて低いと分析している。英仏主導の再保証部隊がウクライナの空と海の防衛も支援する計画だ。

再保証部隊はウクライナ軍の訓練と再編成を支援する。段階的に派遣規模を縮小させ、5年後を目処に完全撤退する。英国、デンマーク、ドイツの情報機関は早ければ5年以内にプーチンは再侵攻の準備を終える可能性があるとみている。

英国防相「戦争を忘れることで平和を危険にはさらせない」

10日、再保証部隊に関する有志国の実務協議がブリュッセルで開かれ、ジョン・ヒーリー英国防相とセバスチャン・ルコルニュ仏国防相ら約30人の国防相が参加した。有志国各国が長期にわたるウクライナの国防と安全保障にどのように貢献できるかを協議した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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