コラム

女子選手の唇にキス、王妃の肩を抱き、卑猥なポーズも...スペインサッカー連盟会長への怒りと、「逆ギレ」の行方

2023年08月26日(土)19時07分

ルビアレス会長「自分は魔女狩りの被害者」

ルビアレス会長は女子選手の苦情には耳を貸さず、ビルダ監督を辞任させなかった。そればかりか代表チームに戻りたいなら自分たちの行動を謝罪しなければならないと2~5年の出場禁止処分を選手たちに科すと警告までした。今大会のメンバーに選ばれたのは大会最優秀選手に輝いたMFアイタナ・ボンマティ選手ら3人だけだった。

女子選手の辞任要求にルビアレス会長は逆上し、女子W杯初優勝に尽力したのにどうして辞任しなければならないのかと「偽りのフェミニズム」「社会的殺人」を非難した。自分を「魔女狩りの被害者」として描き「お互いに陶酔し合意の上でのキスだった。キスというより、つついただけ。娘にキスをするのと同じだ」とし「辞任はしない」と5回も繰り返した。

ルビアレス会長の周辺ではサッカー利権を巡るスキャンダルも取り沙汰される。英メディアによると、フェミニズムへのルビアレス会長の反撃はビルダ女子代表監督やルイス・デ・ラ・フエンテ男子代表監督ら連盟メンバーから拍手喝采を浴びたという。ルビアレス体制を解体しない限り、スペイン女子代表のW杯初優勝が報われることないだろう。

スペイン政府は140人のメンバーのうち女性がわずか6人しかいないスペインサッカー連盟がルビアレス会長に処分を下さなければ、直ちに法的措置を取ると方針を示した。ヨランダ・ディアス第二副首相も「今日、連盟の総会で見たことは容認できない。ルビアレス会長はその地位を続けることはできない」と辞任を要求している。

よもやルビアレス会長が生き残ることはあるまいと信じたい。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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