コラム

なぜ日本は「昭和」のままなのか 遅すぎた菅義偉首相の「デジタル化」大号令

2020年09月22日(火)12時15分

スイスのビジネススクールIMDの2019年「世界デジタル競争力ランキング」で日本は主要63カ国・地域中23位。アジア太平洋地域でも14カ国・地域中8位。アジアではシンガポールや香港、韓国、台湾に遠く及ばなかった。

日本の65歳以上人口は総人口の3割近く。デジタル化が遅れた最大の要因は少子高齢化でライフスタイルが変化しなかったことにある。デジタル化は高齢化が急激に進む日本社会では必要でなかったのだ。

菅首相が言う通り、マイナンバーカードをデジタルIDとして使えれば行政のデジタル化は一気に進むだろう。しかしもっと大切なのは「デジタルリテラシー教育」の強化だ。

「世界デジタル競争力ランキング」調査では日本は「国際経験」「企業の機敏性」「ビッグデータの活用と分析」など4項目で最下位となり、「デジタル・テクノロジーのスキル」も60位だった。要するにデジタル人材が圧倒的に不足しているのである。

デジタル世代を育てるGIGAスクールでは、1人1台の学習用パソコンと高速ネットワーク環境というインフラだけでなく、子供たちを教える教員の養成・能力向上にも十分な資金を投入しなければならないのは言うまでもない。


プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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