コラム

南北首脳会談──平壌を訪問したサムスンのオーナー

2018年09月18日(火)19時45分

yeongyang Press Corps/Pool via REUTERS

9月17日から2泊3日の日程で、南北現政権3回目となる首脳会談が行われた。これまでの会談は板門店で行われたが、今回は北朝鮮の首都・平壌だ。

各省庁の長官や大統領府の秘書官らを含む14人の公式随行員のほか、政治経済文化など各分野から52人の特別随行員、ほか記者団などを含む約200人の一団が文在寅大統領夫妻とともに平壌入りした。

随行メンバーの中でも特に注目されている人物が2人いる。

日本の外務大臣にあたる外交省の康京和(カン・ギョンファ)長官、もう一人はサムスン電子のトップ李在鎔(イ・ジェヨン)副会長だ。

金大中(2000年)、盧武鉉(2007年)政権時、南北首脳会談が平壌で行われた際は、次官補が随行してきた。

南北の問題は国家同士の外交ではなく「統一を目指す過程で暫定的に形成される特殊関係」(1991年南北基本合意書)だからだ。韓国では大統領府、統一省、そして公安組織である国家情報院が主に南北問題を管轄している。

今年4月からの南北首脳会談の場では、朝鮮半島の非核化、そして朝鮮戦争の終結の問題が重要な課題として話し合われているが、米国抜きでは進められない事案であることは自明だ。そのため北朝鮮と米国の調整役・橋渡し役として、外相の立場が重要だということだ。

外相を随行させるのは北朝鮮がそういったことを納得済みという証拠でもあり、南北の信頼関係が深まった結果とも言える。

RTS20ZVV.jpg

康京和外交部長官 REUTERS/Kham

対北事業に消極的だったサムスンも

首脳会談の期間中、ソウル・東大門に設けられたプレスセンターで、記者の質問の中で度々名前が挙がっているのが、サムスン電子の李在鎔副会長だ。

kim0918c.jpg

サムスン電子李在鎔副会長 THE REPUBLIC OF KOREA CHEONG WA DAE

彼の父親でサムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長が2014年に心筋梗塞により意識不明となって以降、サムスングループの事実上トップにいる人物だ。

ほかにも経済界からヒュンダイ自動車のキム・ヨンファン副会長、SKのチェ・テウォン会長、LGのク・グァンモ会長など、韓国を代表する企業の代表ら17人が随行している。

サムスン電子のトップが平壌入りすることが注目される理由は、同社が韓国トップの大企業であるというだけではない。

サムスンはこれまで南北経済協力に消極的で、グループ総帥が北朝鮮を訪問するのも初めてのことだからだ。

プロフィール

金香清(キム・ヒャンチョン)

国際ニュース誌「クーリエ・ジャポン」創刊号より朝鮮半島担当スタッフとして従事。退職後、韓国情報専門紙「Tesoro」(発行・ソウル新聞社)副編集長を経て、現在はコラムニスト、翻訳家として活動。訳書に『後継者 金正恩』(講談社)がある。新著『朴槿恵 心を操られた大統領 』(文藝春秋社)が発売中。青瓦台スキャンダルの全貌を綴った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏とサウジ皇太子が電話会談、OPECプラス

ワールド

イラン、米との会談巡り開催地変更と二国間協議を要求

ワールド

「グロック」、自主規制後も性的画像生成 管理不適切

ビジネス

これまでの米利下げ、雇用の健全性に寄与=リッチモン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 8
    ICE射殺事件で見えたトランプ政権の「ほころび」――ア…
  • 9
    少子高齢化は国防の危機──社会保障を切り捨てるロシ…
  • 10
    「耐えられない...!」アライグマをペットにしている…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 8
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 9
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 10
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story