コラム

「史上最高値」の株高を、日本は喜んでいいのか? 従来の価値観では全体像を見誤るリスクが

2025年08月29日(金)18時14分

インフレの進行と株価の関係とは?

自民党内では現在、総裁選が取り沙汰されているが、次期首相候補といわれる人物の中には、低金利の継続で経済に刺激を与えるべきと主張している人物がいることも少なからず株価に影響しているかもしれない。そもそもアベノミクス、あるいは大規模緩和策というのは、意図的に円安と物価上昇を引き起こす政策であり、必然的に円安と株高が進みやすくなる。

投資家はこうした金融政策の現状を踏まえ、関税交渉が一段落したことをきっかけに、さらに買い上がっているものと推察される。


インフレが進んだ場合、今、100円で購入できるものは、来年には100円では購入できなくなるため、現金の価値が実質的に毀損するという現象が発生する。

資産を持つ投資家にとって、インフレが進む経済環境下での現金保有は事実上の損失拡大であり、株式や不動産など、価値が下がらない資産へのシフトを進めようとする。その結果、企業の業績に実質的な変化がなくても、株や不動産の価格が継続的に上昇するという現象が起こる。

加えてインフレの場合、100円の商品が120円、あるいは150円になるということであり、販売数量は変わらなくても企業の見かけ上の売上高は拡大する。日本は人手不足が深刻なので、これも商品価格を押し上げやすい。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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