「史上最高値」の株高を、日本は喜んでいいのか? 従来の価値観では全体像を見誤るリスクが
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<8月の東京株式市場は全般的に株が買われて日経平均の史上最高値の更新が続き、メディアでは「企業が過去最高益を更新」などの景気の良い見出しが躍ったが......>
日経平均株価が史上最高値の更新を繰り返すなど株価上昇が顕著となっている。株価は景気の先行指標とされ、一般的には今後の景気拡大期待を反映すると解釈される。
だが今回の株価上昇は、当該メカニズムとは少し様子が異なっている。全世界的な物価上昇傾向に加え、日本の金融政策の影響が密接に関係しており、企業収益の増加による景気拡大より、インフレから資産を守りたいという投資家の行動が一連の結果をもたらしたと考えたほうが自然だ。
8月の東京株式市場は、お盆休みを挟んだにもかかわらず、全般的に株が買われ最高値の更新が続いた。株価が上昇しているのは、日米関税交渉が一段落し、当初、想定されていたほどの悪影響が及ばないとの見立てが広がったことに加え、円安が進んだことで企業の業績拡大期待が高まったことが要因と考えられる。
しかしながら、関税交渉の進展と円安だけでここまでの株価上昇を説明するのは難しい。背景には、国内の物価が今後もさらに上昇するというインフレ懸念が存在している。
新型コロナ危機以降、世界経済は慢性的な供給不足の状態となっており、物価が上がりやすい状況が続く。特に日本の場合、大規模緩和策を現在も継続中という状況であり、日銀は正常化の方針は示したものの、景気悪化を避けるため、利上げのペースは緩やかなものにならざるを得ない。
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