コラム

国立大学「学費3倍」値上げ議論の根本的な間違い...これでは日本の国力は低下するだけだ

2024年05月29日(水)18時15分

公的教育を受けることを制限・抑制しようという動きが顕著に

だがこうした価値観は音を立てて崩れ始めている。ある首相経験者が国立大学出身の市長に対して「人の税金を使って学校へ行った」と批判し波紋を呼んだことがあったが、公的教育を受けることを制限・抑制しようという動きが顕著となっている。

日本はモノ作りの国であり、その技術力は国立大学における工学教育によって担保されてきたといっても過言ではない。今後、大学進学の門戸を狭めれば、日本の技術力はさらに低下の一途をたどることになるだろう。

大学の全無償化など思い切った決断をしなければ国力を回復できないような状況のなか、逆に大幅に値上げすべきといった意見が出てくること自体が、今の日本の衰退を象徴している。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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