コラム

もはや「リベラルvs保守」では語れない...現代社会の「対立構造」は、ここまで複雑化・多様化している

2023年12月13日(水)17時47分

日本でも戦後政治の枠組みが機能しなくなった

アメリカが抱えたこうした混乱は、ある意味で世界共通の課題であり、日本でも同じような現象が発生しつつある。戦後の自民党政治は、基本的に大企業を優遇する経済優先の政治であり、そうした枠組みから外れる中小企業や農業関係者、商店主らに十分な経済的支援を行う代わりに、自民党の票田にするという流れでパワーバランスが確立していた。

だが、そうした戦後政治の枠組みは近年、ほとんど機能しなくなっており、どの層に何をアピールすればよいのか自民党自身が迷っているように見える。保守vsリベラル、正社員vs非正規社員、都市vs地方、先端産業vs従来型産業など、対立の方程式はあまりにも複雑になっている。

減税策をめぐって迷走する岸田政権に対しては、何をしたいのか見えないといった批判が出ているが、この問題は日本政治全体に言えることかもしれない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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