高成長してきたシンガポールで「異変」が──差し迫る「中国化」でアジアの金融ハブの座が危うい
マネーロンダリング事件の摘発の背後にいたのは?
だが今回、摘発された容疑者のほとんどは中国籍であり、しかも摘発は中国の外交トップである王毅氏のシンガポール訪問直後に実施された。中国では共産党内部の権力闘争に伴う資金流出が激しくなっており、中国当局が何らかの形でシンガポールに圧力をかけた可能性が示唆される。
米中の政治的対立やロシアによるウクライナ侵攻、さらにはパレスチナ情勢の悪化などを受け、国際金融システムは確実に分断化に向けて動き始めている。これまでシンガポールはアジアと欧米の間をうまく渡り歩いてきたが、世界がデカップリングするなか、今後は香港と同様、明確な立ち位置の表明を求められるかもしれない。
アジア地域における中国のプレゼンス拡大や、中国系が7割を超えるシンガポールの人種構成などから考えると、同国の中国化は避けられない可能性が高い。
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