円安による「ドル不足」は、もはや日本が「経済大国」ではなくなった証拠だ
とりわけ日本の場合、激しい円安が進んでいることや、日米の金利差が大きいことから、仮に融資を受けられても米銀から極めて高いプレミアム(上乗せ金利)を要求されるケースが増えている。このままでは、日本は以前のような低コストでドル資金を調達できなくなってしまう。ドルを必要とする日本企業のコスト負担は増えるので、業績に下押し圧力が加わるだろう。
欲しいときにいつでも外貨を調達し、自由に輸入ができるというのは、今の日本人にとっては当たり前の感覚となっている。だがそれは、世界屈指の経済力を持つ国だけが持つ特権であり、経済規模が小さい国は、常にドル不足という問題に悩まされてきた。
残念なことに、日本は既に経済大国ではなくなりつつあり、戦後さながらにドル確保に苦労する可能性が日増しに高まっている。円安の進展によるドル不足は一つのきっかけであり、為替が落ち着けば全て元の状態に戻るとは考えないほうがよいだろう。

アマゾンに飛びます
2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
日米関税交渉、日本は「取りあえずの勝ち」だが...待ち受ける「今後の交渉」の内容とは? 2025.08.06
軍事費5%で「経済の犠牲」は不可避...欧州が「無様な対応」を見せた理由と、中国の動向 2025.07.17
イラン攻撃が招いた「トランプ支持層」の分裂...米経済にも「意外な影響」が 2025.07.11
日鉄の「USスチール買収」は結局、成功だったのか? 完全子会社化、最終的な「勝者」は誰か 2025.07.04