コラム

なりたいもの第1位は「会社員」──ここに日本社会の「異常さ」が表れている

2022年04月27日(水)12時03分

近年、日本企業の業績が低迷していることから、業務に対して賃金を支払うという、いわゆるジョブ型雇用の導入を進める企業が増えている。業務に対して賃金を支払えば、理屈上、年功序列による昇給はなくなるので(厳密には勤続年数などが考慮されるが、従来の年功序列とは大きく異なる)、事実上の賃下げになる社員が増える可能性が高い。

しかしながら、諸外国では業務に対して賃金を支払うのが常識であり、日本だけが特殊な雇用形態だったという現実を考えると、ジョブ型雇用への流れはほぼ不可避である。

そうなってくると、日本でもいずれ「会社員」という職種はなくなり、具体的な職種で自己紹介をする時代がやって来るかもしれない。

ちなみにこのアンケート調査では、小学生の女子は、1位がパティシエ、2位が看護師だったので、典型的な職種回答となっている(会社員は4位)。

無意識的なものかもしれないが、女子のほうが既にジョブ型雇用を意識しているとも言えるし、会社における男女格差についても何となく理解しており、手に職を付けたいとの希望の表れであるとも解釈できる。機会均等という点では、男女間における職業意識の違いも大きくないほうが望ましいだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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