消費者はばかではないので、常にリスクと効用をてんびんに掛けた上で判断する。ケインズ経済学では、人々は所得の一定割合を消費に回すと仮定するが、一方でケインズ自身は消費について主観的要因も大きいと指摘している。

「予期できない危急の事態」(『雇用、利子および貨幣の一般理論』)が考えられる場合、人々は「所得からの支出を手控えようと」(同書)する。もし第6波の発生が予想され、再度、医療崩壊が発生するリスクがあると国民が判断した場合、宣言が解除されても、行動を100%元の状態には戻さないだろう。

今、政府が行うべきなのは、仮に感染が再拡大した場合でも十分な医療を提供できる体制を早期に構築することであり、消費経済のメカニズムに沿えば、これこそが最大の景気対策であると筆者は考える。医療体制の整備は、施設などハードの問題ではなく、日常的に医療従事者の負荷が高いというソフトの問題が大きい(日本の医療従事者1人当たりの患者数は諸外国の3倍)。病院をまたいだスムーズな医療従事者の派遣などの仕組みがなければ、医療体制の拡充は不可能である。

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