コラム

経産省、続発するスキャンダルより大きな問題は「産業政策の失敗続き」

2021年07月14日(水)18時16分

60年代後半には太平洋ベルト地帯に集中していた重化学工業を青森県下北半島にシフトさせる「むつ小川原開発計画」を立案したものの、進出する企業がなく頓挫。その後、同地域を核燃料サイクル施設の拠点としたが、巨費を投じた核燃料サイクル計画そのものが宙に浮いた状況にある。

80年代には高性能コンピューターの開発を目指す「第5世代コンピュータ」計画や、ソフトウエア開発の高度化を目指す「シグマ計画」などを実施したが、ことごとく失敗している。日本の産業界で生き残ったのは政府に頼らなかった業界ばかりであり、半導体産業への支援も同じ文脈で捉える必要がある。

ビジネスに疎い公務員がイノベーションの未来を予想するのが困難であることや、企業の自由な活動を促進する政策誘導こそが最良の産業政策であることは、ほぼ全世界的なコンセンサスとなっている。同省は一時期、時代に合った産業政策を模索する動きを見せたことがあったが、近年になってなぜかその動きを止めてしまった。今こそ本腰を入れて基本戦略を見直す時期に来ているだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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