コラム

平井デジタル相の「恫喝」発言を、このまま個人の問題で終わらせてはいけない

2021年07月07日(水)11時49分

今やIT関連予算は年間数千億円ともいわれ、予算を組織の生命線とする各官庁にとって手放せない権益になっている。これまでITシステムは各府省がバラバラに発注しており、類似システムであっても、事業者は府省ごとにシステムを納入していた。ソフトウエアは複製が簡単なので、事業者にとっては極めて低コストで商品を販売できることを意味している。

だが、デジタル庁が本格稼働すれば、システム発注はデジタル庁に一元化されるので、事業者は大きな利益を失う。各府省にとっても予算をデジタル庁に奪われるという図式であり、基本的に得することはない。これは行政のスリム化そのものであり、縮小する予算や権限をめぐって事業者間や官庁間で壮絶な権益争いが生じても不思議ではない。

平井氏がIT業界に精通していることや、事業者にとって危機的状況であること、デジタル庁が菅政権の肝煎り政策であること、音声が外部流出したことなどを総合すると、もっと根が深い問題である可能性が高いだろう。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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