コラム

「スガノミクス」を侮るな 注目すべき独自路線の大きな可能性とリスク

2020年09月24日(木)11時54分

一方、行政のデジタル化については二重行政、三重行政が指摘される。IT推進は経済産業省と総務省(旧郵政省の部局)の二重行政になっている。電子政府に関しては総務省の行政管理局(旧総務庁)が調整を行っているが、マイナンバーは自治体が関係するので、管轄は同省の自治行政局(旧自治省)だ。

今回のコロナ対策では、IT化の遅れが致命的な影響を及ぼす結果となったが、これは政府だけの問題ではない。日本経済が低迷している一因がデジタル化の遅れであることは、グローバル市場では共通認識となっている。

菅氏が本気で行政のデジタル化に乗り出せば、民間にもその動きが波及し、安倍政権が手を付けられなかった構造改革を実現できるかもしれない。当然、市場はこの改革の行方に高い関心を寄せている。

だが、省庁再編というのは多くの利害が関係するので簡単には進まない。仮に実現した場合でも、単なる寄り合い所帯となり、うまく機能しない可能性もある。現時点で行政のIT化に関わっている人材を一掃し、外部登用を徹底するといった思い切った措置を実施しなければ、逆に混乱を生むだけだろう。

スガノミクスは、アベノミクスを踏襲したかのように見えて実はそうではない。これは菅政権の潜在力だが、市場の期待が一気にしぼむリスクもはらんでいる。

<本誌2020年9月29日号掲載>

【関連記事】
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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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