コラム

強欲な大人たちを批判する環境少女グレタが、実は金融業界のアイドル?

2019年11月28日(木)11時08分

ここで重要な意味を持つのが地球温暖化対策だ。対策の実施には巨額の資金が必要となるが、行き場を失った資本にとっては高いリターンを得られる最後のチャンスと映る。

既に各国の機関投資家は環境問題に取り組む企業への投融資を重視する方向性を鮮明にしているし、今回のサミットでは、邦銀を含む各国の銀行が「責任銀行原則」への署名を行った。公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、2020年度からグリーンボンド(環境債)への投資を本格的にスタートする。これからの時代は、環境問題に貢献する企業でなければ有利な資金調達はできないだろう。

電気自動車(EV)関連事業への1兆円投資を表明した日本電産は早速、環境債を使い1000億円を調達する方針を固めた。同社の永守重信CEOは、自らが運営する京都先端科学大学の式典に脱原発を強く主張する小泉純一郎元首相を招き記念講演を依頼しているが、背景には同社の長期的なEV戦略がある。環境問題は年金を通じて私たちの老後すら左右するのだ。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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