オスマン帝国の記憶を取り戻し始めたトルコ
ロシアのウクライナ侵攻後、存在感を増すエルドアン ADITYA PRADANA PUTRAーG20 MEDIA CENTERーHANDOUTーREUTERS
<ウクライナ戦争でロシアが退潮するなか、トルコはかつてのオスマン帝国の勢力圏だった中東や中央アジアに手を伸ばそうとしている>
ウクライナ戦争で、トルコの出番が増えている。エルドアン大統領は11月1日、プーチン大統領に電話し、「ウクライナは穀物輸出船にドローンを載せてロシア軍艦を攻撃した。ついては、ウクライナ穀物輸出の封鎖を再開する」と言うプーチンを説得。軍艦攻撃からわずか4日で、穀物封鎖を解除した7月の国際合意に復帰させた。トルコはNATO加盟国だが、ロシア制裁には加わっていない。他方、ウクライナにはドローンを販売しており、双方に貸しがあるので、これまで何度も停戦の斡旋に乗り出している。
ウクライナだけではない。このごろ旧ソ連の南辺地域では、どこを切ってもトルコが出てくる「金太郎あめ」状態だ。2020年秋、アゼルバイジャンとアルメニアの領土紛争が火を噴いたが、この時トルコは民族的に近いアゼルバイジャンにドローンを多数供与し、戦術まで指南して、アゼルバイジャンを電撃的勝利に導いた。
その後も再燃する紛争を鎮めるために、トルコはアゼルバイジャン、アルメニアとの3者首脳会談を主宰。戦争でロシアに助けてもらえなかったアルメニアは、仇敵トルコ(昔、オスマン帝国支配の下アルメニア人はひどい目に遭っている)の軍門に下った格好で、ソ連からの独立後もなかった外交関係の樹立を話し合い始めた。
ソ連崩壊後もこの地域を仕切ってきたロシアは、いまウクライナで手いっぱいだ。先端技術製品はトルコ経由でしか入ってこないし、天然ガスも黒海縦断パイプラインを通じてトルコ経由で南欧に輸出できているから、どうしようもない。
つけ上がればたたかれるのは道理
トルコは、ウクライナ戦争でロシアと距離を置き始めた中央アジアにも手を伸ばす。もともとトルコ民族の故地は、今のトルクメニスタンの辺り。トルコ語の元であるテュルク語系言語は、ウズベキスタン北部、カザフスタン、キルギス、中国の新疆ウイグル自治区、ロシアのサハ共和国などに広く分布する。この民族的・言語的親近さがトルコの売りもので、早くからテュルク語諸国の国際会議を主宰し、21年にはこれをテュルク諸国機構と改名してその盟主的存在に収まった(タジキスタンはペルシャ語系なので不参加。トルクメニスタンは永世中立を標榜してオブザーバー参加のみ)。
トルコは人口約8400万の大国である。GDPはサウジアラビア並みの世界20位だが、兵力65万はNATOの欧州諸国の中では堂々の1位。エルドアンは03年に首相に就任したとき、EUに加盟を懇請して拒否される屈辱をなめ、目を中東(オスマンの旧版図だ)と中央アジアに転じた。ロシアが退潮する今、ユーラシア大陸の真ん中でトルコは中国、ロシアと同格のメジャーな存在となった。
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