コラム

新たな東西対立が始まる世界で日本に求められるもの

2021年09月08日(水)11時00分

米軍のアフガン撤退を1つの契機に日本が一人前の同盟国になるには、まず国民と政府の間のねじれた関係を直さなければならない。日本では戦後の保革対立が相変わらず残っているが、中ロとの関係に外交や安全保障の軸足を置くことは、権威主義と規制経済に引きずり込まれることを意味する。

日本では政府やお偉方を嫌う人が多いが、中国・ロシア型の社会のお偉方はもっとひどいし選挙で蹴落とすこともできない。だから、日本政府が日本を守ろうとすることは基本的には国民の役に立つことなのだ。

その上で、政府はアメリカとの関係を革新勢力から隠したり、ごまかそうとしたりせず、より透明性があり合理的なものにしてほしい。オープンに共同戦略を議論し、合同演習もする。日本は防衛予算を増やす一方で、米軍への思いやり予算は合理化する。先端兵器の開発ではヨーロッパ諸国とも協力を強め、米企業に一方的な条件を押し付けられないようにする、などだ。

一度に物事は変えられない。でも、目標設定は必要だ。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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