コラム

アメリカ大統領選に見る「選挙」の賞味期限

2020年11月28日(土)17時30分

このような選挙制度に意味はあるのか?特に日本では、官僚機構が天皇そして藩閥政治の代理人として明治時代に誕生して以来、万年「終身与党」として機能する。予算は政府原案のとおりで、法案の多くも政府が提出する。そのため、日本の官僚機構は欧州諸国のそれよりも強いのだ。

この中において、選挙はこうした体制自体に対する信任投票の意味を持つ。有権者は体制を変えることまでは望まないから、選挙はセレモニーと堕する。日本国民は2009年に本気で体制を替えたが、それでは国が回らないことが明白になり、もう実験はしたがらない。

今の日本政治における与野党の間に、政策上の対立軸はあまりない。「改革」や有権者の要望は菅政権がまめに拾ってしまう。野党は不正や手続き上の過誤に対して与党や政府を責めたり、次々に新手の手当や補助金を考え出しては有権者の歓心を得るくらいのことしかできない。

どうしたらいいだろう? インターネットや人工知能(AI)を使えば民意が調整できるわけでもない。取りあえず、アメリカの民主制度がまだ生きていて、独裁者の出現を許していないことに一安心、か。

<2020年12月1日号掲載>

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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