コラム

プーチン大統領を「侵略の罪」で裁ける? 欧州が団結して設置する「特別法廷」を知るための5つのポイント

2025年05月16日(金)17時30分

アメリカも同様だ。今まで欧州評議会と良い協力関係を築いてきた。トランプ第二次政権が、特に国連で、ロシアと共に複数の重要な決議に反対したことは、欧州にショックを与えた。その一つは、欧州評議会が侵略犯罪に関する特別裁判所の設立に貢献したことを強調する決議だったという。

それでもEU側では、最近のトランプ大統領の対ウクライナの変化を見ながら、ホワイトハウスが最終的に方針を変更し、このイニシアチブに参加することを期待している。

今後は、ストラスブールで正式な投票に付され、正式な作業は2026年中に開始される予定である。

ヨーロッパ人なら「戦犯の裁判」と言えば思い出すのは、ナチスを裁くニュルンベルク裁判(1945ー46)、そして旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(1993)で、「民族浄化」などの「人道に対する罪」等の容疑で起訴されたスロボダン・ミロシェビッチ大統領である。彼は独裁者だったが、最終的にセルビア政府によって引き渡され、獄死した。

プーチン大統領が突然、トルコを仲介にして和平案を提示したのは、このショックにも関係があるという仮説は十分に成り立つのではないか。和平交渉で、この特別法廷が議題にのぼっても不思議はないだろう。

まだまだ紆余曲折があるだろうが、この特別法廷が実現すれば、大きな歴史の転機となるのは間違いない。

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プロフィール

今井佐緒里

フランス・パリ在住。個人ページは「欧州とEU そしてこの世界のものがたり」異文明の出会い、平等と自由、グローバル化と日本の国際化がテーマ。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使インタビュー記事も担当(〜18年)。ヤフーオーサー・個人・エキスパート(2017〜2025年3月)。編著『ニッポンの評判 世界17カ国レポート』新潮社、欧州の章編著『世界で広がる脱原発』宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省庁の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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