コラム

オンライン詐欺は「産業」になった...GDPの半分を占める闇経済と国家への浸透

2026年03月23日(月)18時42分

中国の影響力

オンライン詐欺グループのほとんどは中国系であり、中国共産党上層部とのつながりが指摘されている。オンライン詐欺グループは中国の一帯一路構想を支持し、海外で親中国プロパガンダを展開することで、中国政府とのつながり(直接的・間接的に)を築いてきた。

その結果、中国のオンライン詐欺グループは、中国政府の一部の暗黙の支援を受けながら、東南アジア全域に拡大してきたと言われている。

一方、中国政府はオンライン詐欺の拡大を利用して東南アジア諸国に対する影響力を高め、諜報活動や影響力行使を行い、同地域における安全保障上の囲い込みを進めようとしている。

たとえば、東南アジアにおける中国系国際犯罪組織の問題を口実に、同地域における中国の治安部隊の役割を拡大している。カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムなどとオンライン詐欺取り締まりのための共同作戦を行うことで合意しているほか、カンボジアとラオスとは国際犯罪での協力を行うことで合意している。

より広範な試みとして、2022年に発足した中国グローバル安全保障イニシアチブ(GSI)を通じた海外における治安活動の拡大も狙っており、拡大するオンライン詐欺への対処は格好の口実となっている。

2023年初頭、中国警察は海外での犯罪活動への取り締まりに非常に積極的になり、高官に対し、違法賭博、人身売買、詐欺、不正行為に関して東南アジア各国の政府とより直接的に連携するよう呼びかけている。

オンライン詐欺グループのターゲットがアメリカ人になったのも中国政府の意図と言われている。ほとんどのグループは中国系なので、当初は中国人をターゲットにしていた。

しかし、中国当局が中国人への詐欺行為の規制を強化したことから、グループはターゲットをアメリカ人に変更した。この中国の規制は選択的規制と呼ばれており、犯罪グループのターゲットをコントロールする方法のひとつになっている。

プロフィール

一田和樹

複数のIT企業の経営にたずさわった後、2011年にカナダの永住権を取得しバンクーバーに移住。同時に小説家としてデビュー。リアルに起こり得るサイバー犯罪をテーマにした小説とネット世論操作に関する著作や評論を多数発表している。『原発サイバートラップ』(集英社)『天才ハッカー安部響子と五分間の相棒』(集英社)『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)『ネット世論操作とデジタル影響工作』(共著、原書房)など著作多数。X(旧ツイッター)。明治大学サイバーセキュリティ研究所客員研究員。新領域安全保障研究所。

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