コラム

研究者ですがフェイスブックにアカウントを永久停止されました

2018年11月26日(月)20時45分

Dado Ruvic/Illustration-REUTERS

<アカウントを停止され、ヘルプセンターに苦情を言った。最終的に永久停止されるまでの、不毛なやりとりの記録>

今年の6月のことである。自分のFacebookアカウントにアクセスしようとしたら、できなくなっていた。そして「アカウントが停止されました」のメッセージが......。

hosaka181126-2.png

自分のアカウントが停止されたのはこれで2度目である。心当たりがないので、ヘルプセンターに苦情をいった。以下はその不毛なやりとりの記録である。

前回、2015年にも似たようなことがあったが、そのときは若干、心当たりがあったので、やばいなあと思いながら、心を入れ替えて二度と怪しげなことをいたしませんといって、再開してもらった。もちろん、怪しげなといっても、違法なことをしていたわけではない(もちろん、Facebookの規定に違反していた可能性は否定しない)。

当時はテロ組織イスラーム国(IS)のテロが猖獗(しょうけつ)をきわめていたころだったので、義憤にかられながら、彼らの声明などをアラビア語のまま、あるいは日本語に訳して紹介していたのである。場合によっては、彼らの公開したビデオへのリンクなども貼っていたと記憶している。

そしたら案の定、アカウントを停止されてしまったのである。そこで、上述のように、心を入れ替え、投稿には注意するからといってアカウント停止を解除してもらったのだ。ただし、Facebook側からは、どの投稿が違反したかは一切連絡がないので、ほんとうにテロ関係が理由かどうかは不明である。

とはいえ、ほかに思い当たる節はないので、再開してもらって以降は、ISなどテロ関連の投稿をする際には、彼らの声明を直接投稿したり、リンクを貼ったりするのではなく、かならず報道へのリンクを経由させることにしたのである。

したがって、それ以後はずっと慎重にFacebookの規定を遵守していると確信していたのだが、突然のこの仕打ちである。

中東報道への「学術的」な批判が「他者を傷つけた」?

ちなみに以下が6月の小生の苦情に対するFacebookからの回答である。

hosaka181126-3.png

6月13日

おまえのアカウントを検討してみたが、Facebookの規約にしたがっていないと結論した。このためおまえのアカウントは永久的に失われる。われらの主たるプライオリティーの一つは、Facebook利用者の安寧と安全であり、われわれは、Facebook上で他者を傷つけたり、暴力組織を支援したり、過激な画像を投稿したりなど、たしかな脅威を許さない。Facebookのポリシーについてもっと知りたければ、Facebookコミュニティー規定をご覧ください。という内容だ。

人を傷つけたり、不快にさせたりするようなことをした覚えはない。可能性としては、インターネット上にある中東関連の報道やレポートなどに、これはまちがっているのではないかとか、これはおかしいのではないかとか、「学術的」で「理性的」な立場から批判をしたことはあるので、それだろうか。

プロフィール

保坂修司

日本エネルギー経済研究所理事・中東研究センター長。日本中東学会会長。
慶應義塾大学大学院修士課程修了(東洋史専攻)。在クウェート日本大使館・在サウジアラビア日本大使館専門調査員、中東調査会研究員、近畿大学教授等を経て、現職。早稲田大学客員教授を兼任。専門はペルシア湾岸地域近現代史、中東メディア論。主な著書に『乞食とイスラーム』(筑摩書房)、『新版 オサマ・ビンラディンの生涯と聖戦』(朝日新聞出版)、『イラク戦争と変貌する中東世界』『サイバー・イスラーム――越境する公共圏』(いずれも山川出版社)、『サウジアラビア――変わりゆく石油王国』『ジハード主義――アルカイダからイスラーム国へ』(いずれも岩波書店)など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪、留学生・低技能労働者のビザ規則厳格化 移民受け

ビジネス

午前の日経平均は反発し500円超高、円高一服を好感

ワールド

ロヒンギャ約400人、インドネシア漂着 大統領は人

ワールド

原油先物が上昇、米の戦略備蓄向け購入計画が支援
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イスラエルの過信
特集:イスラエルの過信
2023年12月12日号(12/ 5発売)

ハイテク兵器が「ローテク」ハマスには無力だった ── その事実がアメリカと西側に突き付ける教訓

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「未来の王妃」キャサリン妃が着用を許された、6本のネックレスとは?

  • 2

    ショッピングモールのデザインが「かつての監獄」と同じ理由

  • 3

    「ホロコースト」の過去を持つドイツで、いま再び「反ユダヤ」感情が上昇か...事件発生数が急増

  • 4

    下半身が「丸見え」...これで合ってるの? セレブ花…

  • 5

    中身が「透けすぎ」...米セレブ、派手なドレス姿で雑…

  • 6

    大統領夫人すら霞ませてしまう、オランダ・マキシマ…

  • 7

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 8

    英ニュースキャスター、「絶対に映ってはいけない」…

  • 9

    キャサリン妃の「ジュエリー使い」を専門家が批判...…

  • 10

    完全コピーされた、キャサリン妃の「かなり挑発的な…

  • 1

    「未来の王妃」キャサリン妃が着用を許された、6本のネックレスとは?

  • 2

    シェア伸ばすJT、新デバイス「Ploom X ADVANCED」発売で加熱式たばこ三国志にさらなる変化が!?

  • 3

    下半身ほとんど「丸出し」でダンス...米歌手の「不謹慎すぎる」ビデオ撮影に教会を提供した司祭がクビに

  • 4

    反プーチンのロシア人義勇軍が、アウディーイウカで…

  • 5

    下半身が「丸見え」...これで合ってるの? セレブ花…

  • 6

    周庭(アグネス・チョウ)の無事を喜ぶ資格など私た…

  • 7

    「傑作」「曲もいい」素っ裸でごみ収集する『ラ・ラ…

  • 8

    英ニュースキャスター、「絶対に映ってはいけない」…

  • 9

    「みっともない!」 中東を訪問したプーチンとドイツ…

  • 10

    ロシアはウクライナ侵攻で旅客機76機を失った──「不…

  • 1

    <動画>裸の男が何人も...戦闘拒否して脱がされ、「穴」に放り込まれたロシア兵たち

  • 2

    <動画>ウクライナ軍がHIMARSでロシアの多連装ロケットシステムを爆砕する瞬間

  • 3

    <動画>ロシア攻撃ヘリKa-52が自軍装甲車MT-LBを破壊する瞬間

  • 4

    ロシアはウクライナ侵攻で旅客機76機を失った──「不…

  • 5

    ここまで効果的...ロシアが誇る黒海艦隊の揚陸艦を撃…

  • 6

    最新の「四角い潜水艦」で中国がインド太平洋の覇者…

  • 7

    またやられてる!ロシアの見かけ倒し主力戦車T-90Mの…

  • 8

    レカネマブのお世話になる前に──アルツハイマー病を…

  • 9

    完全コピーされた、キャサリン妃の「かなり挑発的な…

  • 10

    「超兵器」ウクライナ自爆ドローンを相手に、「シャ…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story