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マドゥロ氏無罪主張、米地裁に初出廷 「軍事的拉致」と弁護士

2026年01月06日(火)13時20分

1月5日、マンハッタンの地裁に出廷するため連行されるベネズエラのマドゥロ大統領と妻のシリア・フローレス氏。 ニューヨークで撮影。REUTERS/Adam Gray

Jack ‍Queen Jan Wolfe

[ニューヨーク 5日 ロイター] - 米軍の攻撃で身柄を拘束されたベ‌ネズエラのマドゥロ大統領は5日、ニューヨーク州の連邦地裁に初出廷し、麻薬テロなどの罪状を巡り無罪を主張した。

マドゥロ氏は麻薬テロ、コカイン密輸の共謀、機関銃および破壊的装置の所持など4つの罪に問われている。法廷で「私は無実だ。有罪ではない。私は善‌良な人間だ。今もわが国の大統領だ」と主張し、「私​は拉致された」とも述べた。

妻のシリア・フロレス氏も無罪を主張した。次回審理は3月17日に開かれる予定。

マドゥロ氏の弁護士バリー・ポラック氏はマドゥロ氏拘束を「軍事的拉致」と呼び、膨大で複雑な訴訟が見込まれると述べた。

今回の審理は30分ほどで終了。裁判所周辺では親マドゥロ派と反マドゥロ派の数十人が抗議活動を行った。

一方、ベネズエラでは副大統領だったデルシー・ロドリゲス氏が暫定大統領に正式に就任した。マドゥロ氏への支持を表明する一方、米‌国に抵抗する姿勢は見せなかった。「2人の英雄の拉致に心を痛めている」とした上で、ベネズエラを前進させると表明した。

米軍の攻撃を受けてベネズエラ政府が3日発令した非常事態宣言の全文も公表された。宣言によると、政府は警察に対し「米国による武力攻撃の促進または支援に関与した全ての人物を全国規模で捜索し逮捕する」よう命じている。

関係者によると、トランプ米大統領はベネズエラ情勢に関し、マドゥロ大統領が退陣した場合、ロドリゲス副大統領(現暫定大統領)を含むマドゥロ氏に忠実な要人が国の安定を維持するのに最適という評価報告書を米中央情報局(CIA)から受け取っていた。CIAの評価は、トランプ氏が2025年にノーベル平和賞を受賞した野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏でなく、ロドリゲス氏を支持することを決めた理由の一つという。

ホワイトハウスのレビット報道官は「トランプ大統領と国家安全保障チームは、最終的にベネズエラが米国の利益にかなうよう、そしてベネズエラ国​民にとってより良い国になるよう現実的な決断をしている」と述べた。また、ルビオ国務長官が残りのマドゥロ政⁠権当局者と「常に連絡を取り合っている」とし、米国はベネズエラに対して「影響力」を維持しているとFOXニュースで述べた。

トランプ大統領はNBC‍ニュースに対し、米国はベネズエラと戦争をしているのではなく、「麻薬を売る人々と戦っている」と語った。また、新たな選挙の前に米国はベネズエラが抱える問題の解決を支援する必要があるとし、30日以内に選挙を行うスケジュールは非現実的だと述べた。

<合法性に疑問>

トランプ政権の軍事作戦を巡っては、国際法の専門家から合法性に疑問の声も出ている。

ブランチ米司法副長官はNBCニュースで、政権の行動は全て「法の範囲内」だったとし、米国には「恐ろしい犯罪で起訴された人物を逮捕する絶対的な法的権利」があ‍ると述べた。

国連のグテレス事務総長は米国の軍事作戦を受けて開かれた安全保障理事会の緊急会合で、国際法の規則が尊重され‍なかったと懸‌念を示した。ベネズエラのほか、中ロなども米国の軍事作戦は法的根拠を欠くと非難。これに対し米国は、ベネズエ‍ラに対して戦争は行っていないと反論した。

ベネズエラの今後の統治も依然として不透明だ。ホワイトハウスのミラー大統領次席補佐官はCNNで「米国がベネズエラを運営している」と改めて表明し、「われわれが条件を定める。ベネズエラの石油には全面的に禁輸が行われており、彼らが商取引を行うにはわれわれの許可が必要だ」と述べた。

ルビオ氏やヘグセス国防長官らはベネズエラ作戦について議会指導部や国家安全保障委員会トップらに2時間以上にわたり説明した。

民主党上院トップのシューマー院内総務は広範囲にわたる説明があった⁠としつつ、答えよりも疑問の方が多かったと指摘。「米国がベネズエラを運営するという政権の計画は漠然としており、希望的観測に基づいている」としたほか、他国で同様の介入を行うことを政権当局者は排除しなかったと述べた。

<トランプ氏、ベネズエラ石油⁠資源への野心隠さず>

5日の米国株式市場では、ベネズエラの膨大な石油資源に米‍企業がアクセスできるようになるとの見方から石油株が軒並み上昇した。

トランプ氏は米石油企業がベネズエラに再び参入し、インフラを再建すると述べたほか、石油企業にそのための補助金を提供する可能性があるとしている。

ただ、業界幹部4人は米軍によるマドゥロ氏拘束前後にトランプ政権と石油大手の間で協議は​なかったと明らかにした。関係筋によると、政権は石油大手幹部らと週内にベネズエラでの計画について協議する見通し。

トランプ氏は当初、政権が石油会社に軍事作戦についてひそかに知らせていたと述べていたが、NBCのインタビューでは「石油会社はわれわれが何かしようと考えていることを知っていたが、われわれは彼らにそれを実行するとは伝えなかった」と述べた。

ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を持つが、不適切な管理や投資停滞などから生産量は落ち込んでいる。

ロイター
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