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米中、相互に船舶港湾使用料徴収 海上輸送も応酬の舞台に

2025年10月14日(火)13時05分

米国と中国は14日、相互の船舶に対し、港湾使用料の追加徴収を開始する。資料写真、中国・上海郊外の洋山港、6月撮影(2025年 ロイター/Go Nakamura)

[北京/ロサンゼルス 14日 ロイター] - 米国と中国は14日、相互の船舶に対し、港湾使用料の追加徴収を開始する。

トランプ米政権は今年、10月14日から中国関連の船舶を対象に追加の入港手数料を徴収すると発表した。先週10日、中国も対抗して米国企業・個人が所有・運航する船舶、米国で建造された船舶、または米国籍船に対し、14日から追加の港湾使用料を課すと発表した。中国国営中央テレビ(CCTV)は14日、特別港湾料の徴収が始まったと伝えた。中国で建造された船や、修理のためだけに中国の造船所に入港する船などは免除されるとしている。

アナリストは、米国の追加手数料で最も打撃を受けるのが中国遠洋海運海運集団(コスコ)で、32億ドルと推計される2026年の手数料総額のほぼ半分を負担すると予想する。

コスコは14日、企業価値を維持し株主の利益を守るため、今後3カ月以内に最大15億元(2億1030万ドル)相当の自社株を買い戻す計画を取締役会が承認したと発表した。

中国の特別港湾料について、ジェフリーズのアナリスト、オマール・ノクタ氏は、影響は世界の原油タンカーの13%、コンテナ船の11%に及ぶと指摘した。

エクスクルーシブ・シップブローカーズ(アテネ)はリサーチノートで、「この報復の対称性は、両国を海事課税のスパイラルに陥れ、世界の貨物輸送を歪めるリスクがある」と述べた。

トランプ政権は、海運業界の温室効果ガス排出削減の取り組みにも圧力をかける。国際海事機関(IMO)は14日に開幕する会合で、世界の海運会社に対する排出削減計画を正式に決定する予定だが、政権は13日に計画に賛成する国に制裁措置や入港禁止、懲罰的な船舶使用料を課す可能性があると警告した。中国はIMOの計画を支持している。

エクスクルーシブは「通商政策と環境政策の両方が武器化されることは、海運が国際商取引における中立的なパイプから、国家戦略の直接的道具に移行したことを示す」と指摘した。

ロイター
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