パキスタン貧困率、低下ペース鈍化 経済ショックなどで=世銀

9月23日、世界銀行は、パキスタンの貧困率について、近年の急激な低下の勢いが鈍化していると明らかにした。写真はスラム街で遊ぶ少年ら。2015年3月、パキスタンのイスラマバードで撮影(2025年 ロイター/Zohra Bensemra)
Saeed Shah
[23日 ロイター] - 世界銀行は23日、パキスタンの貧困率について、近年の急激な低下の勢いが鈍化していると明らかにした。経済ショックや構造改革が不十分であることを理由に挙げた。
2001年から15年は都市化の波が押し寄せ、農村部の労働者が運輸、建設、貿易などの分野で都市部の雇用に移行し、貧困率は64%から2019年までに22%に低下した。だが、その後改善ペースが鈍化し、24年までに25%に上昇した。
世銀は「当初の貧困削減を支えた成長モデルは、進歩の維持には不十分と判明した。かつて有望視されていたパキスタンの貧困削減は憂慮すべき停滞状態に陥り、長年の進歩が覆された」と指摘。
コロナ禍、ウクライナ戦争後の世界的なインフレ、22年の壊滅的な洪水などを主要な要因に指摘。また、労働吸収型部門の生産性の低さ、公共サービスの不足、教育・訓練へのアクセス制限といったファンダメンタルズの弱さも挙げた。
貧困から脱却した多くの人々の生活も貧困水準をわずかに上回るにとどまっており、経済混乱の影響を受けやすい状況にあるという。
調査ではパキスタンが定めた国の貧困基準が使用されたが、国際的な指標ではさらに高いことが示唆されている。