インドネシア警察、大学キャンパス付近で催涙ガス 国際団体が批判

反政府デモが広がるインドネシアで、警察が主要地方都市バンドンにある2つの大学付近でデモ参加者の群衆に催涙ガスを発射した。写真は抗議デモの参加者ら。9月1日、インドネシア・西ジャワ州のバンドンで撮影(2025年 ロイター/Dimas Wibisono)
Stanley Widianto
[ジャカルタ 2日 ロイター] - 反政府デモが広がるインドネシアで、警察が主要地方都市バンドンにある2つの大学付近でデモ参加者の群衆に催涙ガスを発射した。学生団体と当局が2日に明らかにした。
バンドンイスラム大学(UNISBA)と近くのパスンダン大学のグループによると、当局がキャンパス近くの群衆に催涙ガスを発射。パスンダン大学の学生はロイターに対し、当局がキャンパスの門の外から催涙ガスとゴム弾を発射し、1人が負傷したと証言した。
警察によると、当局はキャンパスには立ち入らなかったが、群衆が敷地内の道路を封鎖する中、保護を求める学生以外のデモ参加者の群衆を解散させようとした。
UNISBAの学生団体は、治安部隊が反対意見を封じ込めようとしていると非難し、催涙ガスでキャンパスを「残酷に攻撃」し、一部の学生に呼吸困難を引き起こしたとしている。
国際的な権利団体は、デモに対する治安対応を批判。ニューヨークを拠点とするヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア担当副ディレクター、ミーナクシ・ガングリー氏は「インドネシア当局は抗議行動を反逆行為やテロ行為と見なして無責任な行動を取った」と述べた。
国連人権事務所は、治安部隊による権利侵害疑惑を調査するよう求めた。
プラボウォ大統領は、暴力行為の激化に対しては警察と軍が断固として対応すると警告している。ジャカルタ警察は、デモ発生以来、1200人以上を拘束したと発表しており、市当局は340万ドルの被害が出たと報告している。
政府は1日、これまでのデモで少なくとも8人が死亡したと述べた。
アナリストは、10月に就任1周年を迎えるプラボウォ政権の力量が試されると指摘している。
コンサルティング会社コントロール・リスクの准ディレクター、アフマド・スカルソノ氏は、最近の議員手当が国民の反発を招いたことを挙げ、格差拡大がデモの拡大につながっていると分析。
「インドネシアの富裕層と貧困層の格差拡大は、簡単に燃え上がる乾燥した干し草のような状態だ。国会議員の優遇措置のような社会の感受性を考慮しない政策は、火をつけるマッチとなる」と語った。