中国、少子化対策で育児補助金 3歳未満に年500ドル

7月28日、中国政府は満3歳までの子どもを対象に1人当たり年間3600元(約500ドル)の育児補助金を支給すると発表した。写真は公園で遊ぶ子どもら。2021年6月、北京市内で撮影(2025年 ロイター/Tingshu Wang)
[北京 28日 ロイター] - 中国政府は28日、満3歳までの子どもを対象に1人当たり年間3600元(約500ドル)の育児補助金を支給すると発表した。子どもを持つことを選択する若者が減少する中、出生率の低下を抑制する狙いがある。
中国では育児や教育にかかる高額な費用、雇用不安や景気減速などから、多くの若者が結婚して家庭を持つことに消極的になっている。
国営の新華社によると、補助金は今年から適用され、2025年より前に生まれた3歳未満の子どもにも一部支給される。この政策によって乳幼児を育てる2000万以上の世帯が恩恵を受ける見込みという。
国家衛生健康委員会は「重要な国民生活政策」であり、直接的な現金補助は「家庭の出産・育児コストの削減」に役立つと述べた。
中国の人口は24年に3年連続で減少した。
全国の各省は過去2年間に独自の育児補助を導入してきたが、子ども1人当たり1000元から10万元まで、かなりのばらつきがある。
新華社によると、新たな政策では地方政府ではなく、中央政府が資金を拠出する。
シティ・リサーチは、この計画による今年下半期の一時金総額は1170億元に上ると予想し、人口政策としてよりも消費政策としての意義が大きいと指摘した。
キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミストは、出生率や消費に短期的な影響を与えるには少額すぎるとしつつ、「家計への直接給付という点では大きな意味を持ち、将来的にさらなる財政移転の下地となる可能性がある」と述べた。
米エール大学の人口統計学者エマ・ザング教授は、全国的な制度はある程度の連携をもたらし、中央政府のより大きな関与を示すかもしれないが、さらなる取り組みが必要だと強調。「安価な保育、育児休暇、女性の雇用保護などの分野に継続的な構造的投資がなければ、出生率への影響は最小限にとどまる可能性が高い」と述べた。