ブラジルに50%関税、トランプ氏が書簡 ルラ大統領は対抗姿勢

トランプ米大統領は9日、ブラジルのルラ大統領(写真)に宛てた書簡で、8月1日からブラジルからの輸入品に対し50%の関税を課すと表明した。同日撮影(2025年 ロイター/Adriano Machado)
Kanishka Singh Ricardo Brito
[ワシントン/ブラジリア 9日 ロイター] - トランプ米大統領は9日、ブラジルのルラ大統領に宛てた書簡で、8月1日からブラジルからの輸入品に対し50%の関税を課すと表明した。
また、ブラジルで公判中のボルソナロ前大統領に対する支持を改めて示し、書簡の中で、ボルソナロ氏に対するブラジルの扱いと関税を関連付けた。
書簡は「ブラジルによる自由選挙と米国人の基本的言論の自由の権利に対する陰湿な攻撃」が関税を課す一因だとしている。
米国はブラジルにとり中国に次ぐ第2位の貿易相手国。関税は4月に発表された10%から大幅に引き上げられる。
書簡によると、50%の関税は8月1日に発動され、セクター別の関税とは別に設定される。トランプ氏はまた、グリア米通商代表部(USTR)代表に対し、ブラジルによる不公正な貿易慣行、特に米国企業のデジタル貿易に対する慣行について調査を開始するよう指示した。
ブラジルのルラ大統領は7日、トランプ氏が新興国グループ「BRICS」の「反米政策」に同調する国に10%の追加関税を課すと表明したことを受け、世界に皇帝は必要ないと述べ、トランプ氏を批判していた。
ブラジル外務省は9日、ボルソナロ氏を擁護する声明を巡り米国大使館の臨時代理大使を呼び抗議した。
ホワイトハウスで行われた西アフリカの指導者たちとのイベントで、トランプ大統領は記者団に対し、ブラジルは「われわれに良くしていない、全く良くない」と述べ、関税率は「非常に、非常に実質的な事実」と過去の歴史に基づくものだと主張していた。
在ブラジリア米国大使館は、臨時代理大使がブラジル外務省の関係者と会談したことを確認したが、詳細については明らかにしなかった。
関税措置の発表を受けて、ブラジルの通貨レアルは対ドルで2%超下落。航空機メーカーのエンブラエルや石油メジャーのペトロブラスなどの企業も米国株式市場で下落した。
ルラ大統領は相互主義で行動すると述べ、対抗姿勢を鮮明にした。
大統領府は声明で「一方的に関税を引き上げるいかなる措置も、ブラジルの経済相互主義法に従って対処される」とした。