英下院が福祉制度改革法案可決、与党議員大造反で首相求心力低下浮き彫り

スターマー英首相が推進する社会福祉制度改革法案は、与党労働党内からの反発を受けてさまざまな譲歩をしたことが奏功し、7月1日の議会下院でようやく可決にこぎ着けた。同日、ロンドンで代表撮影(2025年 ロイター)
[ロンドン 1日 ロイター] - スターマー英首相が推進する社会福祉制度改革法案は、与党労働党内からの反発を受けてさまざまな譲歩をしたことが奏功し、1日の議会下院でようやく可決にこぎ着けた。ただ採決では引き続き多くの与党議員が造反し、スターマー氏の求心力低下を印象付ける形になった。
法案に反対票を投じた労働党議員は49人で、これはスターマー政権発足以降の採決において最大規模の造反だった。
昨年の総選挙での労働党大勝に伴って誕生したスターマー政権だが、その後首相の支持率は急落。与党内の足並みの乱れもあって幾つかの政策の撤回を迫られている。
政権が打ち出した社会福祉制度改革は、膨らみ続ける政府の給付金負担を削減することが目的。障害のある人などへの給付に拠出する年間歳出は、現在の650億ポンドから2030年には1000億ポンド超に増大すると見込まれており、当初は障害・疾病給付金の受給資格厳格化を通じて30年までに年間50億ポンドを節約することを目指していた。
しかし政権は法案通過のために歩み寄り、新たなルール適用を今後の給付金申請のみに限り、既存の受給者は対象外に修正。専門家の試算では、これによって節約可能な歳出は年20億ポンド前後に縮小する公算が大きい。
関係閣僚や与党幹部は採決直前まで、態度未定の議員の支持獲得に向けて説得を続けたもようだ。