ニュース速報
ワールド

米国のイラン攻撃、国際法でどのような評価あり得るか検討必要=石破首相

2025年06月23日(月)23時43分

6月23日、石破茂首相は通常国会閉会を受けて記者会見し、消費税は医療や社会保障を支える大切な財源だとして、安定財源なしの無責任な減税はできないとの見解を改めて示した。写真は昨年10月撮影(2025年 ロイター)

Yoshifumi Takemoto Kentaro Sugiyama

[東京 23日 ロイター] - 石破茂首相は23日夜、通常国会閉会を受けた記者会見で、米国によるイラン攻撃は国際法の観点から妥当だったか問われ、日本は詳細な事実関係を把握できないため確定的な法的評価をするのは現時点で困難だが、「どのような評価があり得るのかは、常に常に検討していかねばならない」と語った。

今回の米国の対応については、事態の早期沈静化を求めつつ、イランの核兵器保有を阻止するという決意を示したもの、との見解も示した。

米国によるイラン攻撃への報復として、イランが原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖する可能性については「最大の緊張感をもって注視する」と述べた。実際に封鎖された場合に集団的自衛権の行使の対象になるかは、従来の姿勢を踏襲し、日本に対する攻撃とみなされるかが重要な判断材料になるとの考えを示した。

<防衛費、日本の判断で積み増し>

首相は、米国がアジアの同盟国に防衛費の対GDP比5%への引き上げを要請し始めたことに関連し、日本は戦後最も厳しい安全保障環境にあり、防衛力の強化は独立国家として必要なことだと語った。

もっとも、それは数字ありきでなく、必要なものを自らの判断として積み上げていくことが重要だと述べた。その際、同盟国である米国と綿密に意思疎通をしていかなければならないとした。

<連立政権、あらゆる政策で合意必要>

参院選については「いかにして強い経済を作っていくか訴えていく。強い経済、豊かな暮らし、揺るぎない日本、この三つの柱を実現すべく訴えていきたい」と語った。勝敗ラインは非改選を含めて過半数に設定した。

少数与党による厳しい政権運営を解消するための連立拡大の可能性では「連立政権は一つひとつのテーマだけの連立はあり得ない。あらゆる政策について合意できる必要がある」と指摘した。

消費税は医療や社会保障を支える大切な財源だとして、安定財源なしの無責任な減税はできないとの見解を改めて示した。

再開を決めた電気・ガス補助金は標準家庭で3000円の負担軽減効果があると説明。ガソリンの暫定税率引き下げは安定財源の確保とともに進めると繰り返した。

<対米関税交渉、国益を損なわず>

現在、日本は自動車・部品に25%、鉄鋼・アルミニウムに50%の追加関税、「相互関税」として基本関税10%がかけられている。さらに、猶予されている相互関税の上乗せ分14%も7月9日に発動猶予期限を迎える。

米国の関税措置を巡る対応では、日米の双方の利益となるよう協議を継続すると述べた。首相は、早期の合意にこだわるあまり、国益を損なうことがあってはならないと改めて強調。「何が効果的か、何が最も国益に資するかということを考えながら全力で取り組んでいく」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

対イラン米攻撃の「合法性なし」と仏大統領、政権交代

ワールド

イラン、カタールの米空軍基地をミサイル攻撃 イラク

ワールド

米、カタールの米空軍基地への脅威を厳重監視=ホワイ

ワールド

ホルムズ海峡でタンカー航路変更相次ぐ 封鎖や米攻撃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 7
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 8
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 9
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 10
    【クイズ】次のうち、中国の資金援助を受けていない…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 8
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    イランとイスラエルの戦争、米国より中国の「ダメー…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中