イランのフォルドゥ核施設、「非常に重大な」損害予想=IAEA

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は23日、米軍が22日に空爆したイラン中部フォルドゥのウラン濃縮施設について、地下部分に「非常に重大な」損害が発生したと予想されるが、「現時点ではIAEAも含め、誰も被害を完全に把握できる立場にない」と述べた。フォルドゥの衛星写真、提供写真(2025年 ロイター/MAXAR TECHNOLOGIES)
Francois Murphy
[ウィーン 23日 ロイター] - 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は23日、米軍が22日に空爆したイラン中部フォルドゥのウラン濃縮施設について、地下部分に「非常に重大な」損害が発生したと予想されるが、「現時点ではIAEAも含め、誰も被害を完全に把握できる立場にない」と述べた。
IAEAの緊急理事会で表明した。
IAEAはイスラエルが6月13日にイラン核施設への軍事攻撃を開始して以来、イランで査察を実施できていない。
同氏は「使用された爆発物の積載量と、遠心分離機が振動に極めて敏感な性質であることを考えると、非常に重大な損害が発生したと予想される」と述べた。
IAEAによると、イランの高濃縮ウラン保有量は400キロを超え、濃縮度をさらに高めれば核爆弾9発分に相当するが、この濃縮ウランの備蓄が現在どのような状況にあるかが未解明の問題になっている。イランは核開発は平和利用目的だと主張している。
グロッシ氏によると、イランは6月13日、核拡散防止条約(NPT)で規定されたIAEAの保障措置の対象である核物質と核施設を保護するため「特別措置」を講じることをIAEAに通知した。
同氏は「私は同日の返答で、保障措置対象施設からイラン国内の別の場所に核物質を移転する場合は、IAEAへの申告が必要だと指摘した」とし「核物質・設備を保護するイランによるいかなる特別措置も、イランの保障措置義務に従って行うことが可能だ。それは可能だ」と述べた。