米軍事介入なら長期的原油高が世界経済に悪影響拡大も、市場に警戒感

米国がイスラエルとイランの紛争に軍事介入した場合、投資家の間では短期的な米国株の下落とともに、長期的な原油高による世界経済への悪影響が広がりかねないとの警戒感が出ている。写真は、アメリカ、イスラエル、イランの国旗が並ぶイメージ。6月18日、ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニカ市で撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[18日 ロイター] - 米国がイスラエルとイランの紛争に軍事介入した場合、投資家の間では短期的な米国株の下落とともに、長期的な原油高による世界経済への悪影響が広がりかねないとの警戒感が出ている。
原油価格は18日に下落したものの、イスラエルがイランの核関連施設攻撃を開始して以来の上昇率はなお約9%に達する。
バークレイズは、イランの輸出が半減すれば原油価格は1バレル=85ドルまで上昇するだけでなく、戦争が拡大する「最悪シナリオ」の下では100ドル前後まで跳ね上がってもおかしくないと警告した。
シティグループのエコノミストチームは18日付ノートに、大幅な原油高は「世界経済にマイナスの供給ショックを与え、成長下振れと物価押し上げにつながり、関税リスクを何とか乗り切ろうと苦戦している各中央銀行にとってより厳しい事態になる」と記した。
一方米国株の主要指数は、トランプ大統領の通商政策を巡る不確実性にもかかわらずなお最高値近辺で推移しているだけに、一部の投資家は追加的な不確実要素には打たれ弱いのではないかと心配している。
ホライゾン・インベストメント・サービシズのチャック・カールソン最高経営責任者(CEO)は、トランプ氏が米軍にイスラエルとイランの紛争への関与を強めるよう命じれば、米国株は反射的に売り込まれるかもしれないとの見方を示した。
ただカールソン氏は、トランプ氏が「強面(こわもて)路線」に走るのは市場にとって驚きにならず、資産価格の反応を最小限にとどめていると指摘。個人的には米国が関与を強めるという確信にはまだ至っていないと付け加えた。
足元の株価が高値を維持している背景について、クオンティティブ・インベストメント・ストラテジーズのグローバル共同責任者を務めるオスマン・アリ氏は「投資家はできるならこれ(イスラエルとイランの問題)を見て見ぬふりをしたいと思っている。今後地域紛争がずっと大きくなり、恐らく米国が介入して状況がエスカレートすると信じるに足る根拠を目にするまで、株式市場は可能な限り無視するのを望むだろう」と分析した。