米、貿易交渉加速化へ 各国に4日までの最善案提出要請=草案文書

6月2日、トランプ米政権が貿易相手国に対し、4日までに最善の貿易交渉案を提示するよう求めることがロイターが入手した草案文書で分かった。写真は5月、カリフォルニア州ロサンゼルス港でドローン撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)
Jarrett Renshaw
[2日 ロイター] - トランプ米政権が貿易相手国に対し、4日までに最善の貿易交渉案を提示するよう求めることがロイターが入手した草案文書で分かった。トランプ政権は相互関税の上乗せ部分について、一部の国・地域を対象に90日間一時的に停止すると発表。その期限が約5週間後の7月8日に迫る中、交渉加速化を狙うとみられる。
草案文書は米通商代表部(USTR)が作成。政権が自らが設定した期限までに合意を成立させたいという切迫感が示唆されている。
草案文書によると、米国は各国・地域に主要分野での最善の提案をリストアップするよう要請。米国からの工業製品や農産物の輸入に関する関税や割当枠の提案、非関税障壁の是正計画のほか、デジタル貿易と経済安全保障を巡る確約などが含まれるとしており、トランプ政権は回答を検証し、「可能な着地点」を探るという。
この文書が具体的にどの国・地域に送付されるかは不明。ただ、交渉が活発に行われ、会合や文書交換が行われている国・地域が対象になるとみられている。欧州連合(EU)のほか、日本、ベトナム、インドなどは米国と活発に交渉を行っている。
USTR関係筋は、交渉は継続していると言及。「多くの主要貿易相手国・地域との建設的な交渉が急ピッチで進められている。進捗状況を検証し、今後の対応を検討することは全ての関係者のためになる」と述べた。
全米外国貿易評議会の世界貿易政策担当幹部はロイターに対し、USTRが可能な限り迅速に交渉を進めていることは心強いとし、米企業に対する貿易障壁を取り除き、米国の関税を引き下げる貿易協定は、「貿易関係に予測可能性と安定性を取り戻す形で行われれば、ウィンウィンになる」と述べた。
一方、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくトランプ政権の包括的な関税措置を巡っては裁判で係争中だが、貿易相手国あての草案文書は、もしIEEPAに基づく大統領権限の行使に反対する判決が下されても、関税が無効になるとは考えないよう警告。
「米国での進行中の訴訟にかかわらず、大統領は必要に応じて他の強力な法的権限に従ってこの関税プログラムを継続する意向だ」とした。