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米厚生長官ら、食品の石油系合成着色料の使用禁止計画を発表

2025年04月23日(水)10時24分

 4月22日、ケネディ米厚生長官とマカリー食品医薬品局(FDA)長官(写真中央)は記者会見で、米国で供給される食品での石油系合成着色料の使用を禁止する計画を明らかにした。同日、ワシントンで撮影(2025年  ロイター/Elizabeth Frantz)

[ワシントン 22日 ロイター] - ケネディ米厚生長官とマカリー食品医薬品局(FDA)長官は22日の記者会見で、米国で供給される食品での石油系合成着色料の使用を禁止する計画を明らかにした。着色料の摂取が注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの原因になっているとの懸念を示したものの、多くの科学者は実証するにはより多くの研究が必要だと指摘している。

マカリー氏は根拠として医学誌「ランセット」を例示し、同誌には食品の合成着色料とADHDとの関連について指摘した論文が2007年に掲載されているとした。

マカリー氏はFDAが今後数カ月以内に、2種類の合成着色料の認可取り消しに向けたプロセスを始めると説明。他にも6種類の着色料の排除に向けて業界と協力すると表明した。

マカリー氏は石油系合成着色料から天然色素へ移行すれば食品価格を上昇させることはないとの見解を表明。食品メーカーに対してスイカジュース、ビーツのジュース、ニンジンジュースなどの原料を使って食品を着色することを提案した。

FDAは数週間以内に4種類の天然着色料を新たに認可する予定であり、同時に他の添加物の審査と認可を加速させる計画だと発表した。

一方、ケネディ氏は子どもの慢性疾患に対処するには食品から添加物を取り除くことが必要だと主張。根拠を示すことなく、ADHDや食物アレルギーなどの症例が上昇していることに対処すると示唆した。

ペプシコやゼネラル・ミルズなどの米食品大手は、幅広い商品に使っている合成着色料を取りやめるなどの規制変更を実施することでトランプ政権と協力すると表明した。

一方、食品業界団体の食品ブランド協会(CBA)はケネディ氏のこれまでの発言を踏まえた今月7日付のメモで、欧州で禁止されている添加物を米国が認めているというのは誤解だと反論した。

ハーシーやクラフト・ハインツ、ペプシコなどが加盟するCBAと全米菓子協会(NCA)は22日夜に、会員企業の製品に含まれている原材料は安全だと主張した。

ケネディ氏は、保険福祉省(HHS)が合成着色料の使用を取りやめることで食品業界と合意していると主張。マカリー氏は法令や規制の変更をせずに企業が成分を調整することを望んでいる一方で、コンプライアンス(法令順守)を確保するための手段を検討しているとも表明した。

これに対し、首都ワシントンを拠点とする食品業界幹部は、食品業界とHHSまたはFDAとの間で食品の合成着色料の除去に関する合意や了解があることは知らないと語った。

ロイター
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