ニュース速報
ワールド

プーチン氏、米停戦案に条件 原則支持も「紛争の根本原因排除」必要

2025年03月14日(金)08時18分

ロシアのプーチン大統領は13日、ロシアはウクライナとの停戦に向けた米国の提案に同意するとしつつも、いかなる停戦も紛争の主要因を排除し、恒久的な平和につながる必要があるという認識を示した。同日撮影の提供写真。(2025年 ロイター/Sputnik/Gavriil Grigorov/Pool via REUTERS)

Guy Faulconbridge Andrew Osborn Vladimir Soldatkin

[モスクワ 13日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は13日、ロシアはウクライナとの停戦に向けた米国の提案を原則支持するとしつつも、いかなる停戦も紛争の根本的な要因を排除した上で恒久的な平和につなげる必要があるとし、多くの重要事項で詳細を詰めなければならないと述べた。

停戦案に対するプーチン氏の条件付きの支持は、米国に誠意を示し、トランプ米大統領との今後の協議に道を開く狙いとみられるが、プーチン氏が多くの説明や条件を求めたことを踏まえると、迅速な停戦は困難な見通しだ。

同氏はモスクワでベラルーシのルカシェンコ大統領と会談後に開いた記者会見で、「敵対行為の停止という提案に同意する」と表明。同時に「長期的な平和につながり、危機の根源的な要因を排除するものでなければならない」と述べた。

その上で、トランプ氏の戦争終結に向けた取り組みについて「この考え自体は正しく、われわれは明確に支持する」とし、「平和的手段によって紛争を終わらせるという考えを支持する」と述べた。ただ「協議する必要のある事項がある」とし、トランプ氏と電話会談を実施する可能性があると語った。

トランプ氏はプーチン氏の発言について「非常に頼もしい」とし、ロシアが「正しいことをする」よう期待すると述べた。プーチン氏との電話協議に前向きな姿勢も示した。

また、ウィットコフ米中東担当特使が米国の提案についてモスクワで真剣な協議を行っているとし、「ロシアが応じるかどうかが分かる。応じなければ、世界にとって非常に残念な瞬間になる」と語った。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、プーチン氏は停戦案を拒否する準備をしているが、トランプ氏に伝えるのを怖がっていると指摘。停戦を遅らせるか、全く実現させないために、条件を付けているとの見方を示した。

トランプ氏は、和平合意においてウクライナが保持する、あるいは失う領土や、大規模発電所の将来について米当局者が協議していると述べた。詳細は明らかにしなかったが、ロシアが占領しているザポロジエ原子力発電所に言及したとみられる。

プーチン氏は、ウクライナが昨年8月に越境攻撃を開始したロシア西部のクルスク州の状況について、現在は完全にロシア軍の管理下にあると表明。ウクライナ軍はクルスク州で孤立しているとし、こうした状況下で30日間の停戦を実現するのはウクライナにとっては望ましいだろうと指摘。前線が2000キロメートルにおよぶ中、停戦の管理の仕方など多くの疑問があるとし、米国と協議する必要があるとの考えを示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

11月の基調的インフレ指標、加重中央値と最頻値が伸

ワールド

米、ナイジェリア上空で監視飛行 トランプ氏の軍事介

ビジネス

仏、政府閉鎖回避へ緊急つなぎ予算案 妥協案まとまら

ワールド

米大統領、史上最大「トランプ級」新型戦艦建造を発表
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中