ニュース速報
ワールド

インタビュー:デフレ脱却「宣言する状況にない」=公明財金部会長

2023年11月30日(木)16時49分

 11月30日、公明党の若松謙維財政・金融部会長はロイターとのインタビューで、政府のデフレ脱却宣言について、千載一遇のチャンスだが現状では宣言する状況にない、との認識を示した。写真は都内で2020年5月撮影(2023年 ロイター/Kim Kyung-Hoon )

Takaya Yamaguchi

[東京 30日 ロイター] - 公明党の若松謙維財政・金融部会長はロイターとのインタビューで、政府のデフレ脱却宣言について、千載一遇のチャンスだが現状では宣言する状況にない、との認識を示した。日銀に対しては現在の金融政策を維持しながら、経済の好循環を支えることに期待感を示した。インタビューは30日に実施した。

若松部会長は、足元の経済環境について「景気は緩やかな回復基調にあることに変わりないが、企業部門の好調さが投資や賃金に必ずしも回っていない」とし、「内需は力強さを欠き、好循環につながっていない」と述べた。

デフレ脱却を巡っては「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないとするのがデフレ脱却の定義。物価の基調や背景を総合的に考慮し、慎重に判断する必要がある」と指摘した。

30年ぶりの賃上げ率や名目100兆円を超える見込みの設備投資、GDPギャップ解消などの前向きな動きがある一方で、「現時点では賃金上昇が物価上昇に追いついていない。これを放置すれば再びデフレに戻りかねない」と言及。「デフレ脱却宣言に至るには低物価、低賃金、低成長のコストカット型経済から持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済への変革が必要になってくる。現状では宣言する状況にはない」と語った。

拙速なデフレ脱却宣言に踏み切れば「誤ったメッセージを市場に送り、好循環どころか空回りする可能性がある」との考えも述べた。

日銀の金融政策に関しては「いまの状況を考えるとYCC(イールドカーブ・コントロール)の枠組みとマイナス金利は維持すべきだ。次の一手をどうするかを打ち出す状況にはない」とした。

政府・日銀が連携する中で「賃上げを伴う物価安定2%目標の実現と、持続的な経済成長を目指して、日銀としての役割を果たしていただきたい」との期待感も示した。2013年1月以降、維持されている政府・日銀のアコード(政策協定)については「当面、見直す必要はない」と明言した。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始へ

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの

ビジネス

中国の主要国有銀、元上昇を緩やかにするためドル買い
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中