中国の新規銀行融資、9月は1.29兆元に増加 予想には届かず
[北京 15日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が15日公表したデータによると、9月の人民元建て新規融資は1兆2900億元(1810億6000万ドル)となり、前月の5900億元から増加した。9月は例年、季節要因で融資が増える傾向があり、基調的な融資需要は低迷している可能性がある。
ロイターがまとめた市場予想は1兆4700億元。前年同月は1兆5900億元だった。
人民銀は月次の内訳を公表しておらず、ロイターが1─9月累計データと1─8月累計データの差分から9月分を算出した。1─9月の新規融資は14兆7500億元で、前年同期の16兆0200億元を下回った。
オーストラリア・ニュージーランド銀行のシニア中国ストラテジストは「9月のデータは、現在の信用サイクルがピークを過ぎ、総融資額とM2の伸び率が引き続き低下する可能性があることを示した」と指摘。
「国内総生産(GDP)成長への圧力が高まっている。このため金利引き下げよりも預金準備率の引き下げが優先される可能性が高い。為替レートの安定維持が目先の重要事項であることを考えると、人民銀行が行動を起こすには12月がより適切な時期と言えるだろう」と述べた。
融資残高は前年比6.6%増と、8月の6.8%増から鈍化し、過去最低を記録。市場予想は6.7%増だった。
9月の家計向け融資は、8月の303億元から3890億元に大幅増加。企業向け融資も5900億元から1兆2200億元に増えた。
マネーサプライ(M2)は前年比8.4%増で、予想の8.5%をわずかに下回った。8月は8.8%増だった。
一方、狭義のマネーサプライ(M1)は7.2%増と、8月の6.0%増から伸びが加速した。
この日発表された9月の物価統計は、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)ともに前年比で下落し、デフレ圧力の継続を示した。
キャピタル・エコノミクスは「向こう1年間に段階的な利下げがあると予想するが、デフレで実質貸出金利は高止まりし、銀行融資の重しとなるだろう。消費者向け貸し出しの助成制度も、その重しを相殺するほどの効果は期待できない」と述べた。
広義の与信・流動性を示す社会融資総量残高は前年比8.7%増。8月の8.8%増から鈍化した。
国債の大量発行が一服し、今後は供給が減少すると予想され、社会融資総量を下押しするとみられる。